月次点検はキュービクルを運転したまま外観と電圧・負荷電流・漏えい電流を確かめる点検、年次点検は主に停電して設備を止め、月次の内容に加えて絶縁・接地・保護継電器の連動などを試験する点検です。外部委託の事業場では、月次点検は毎月1回以上(設備の条件で隔月・3か月に1回以上)、年次点検は1年に1回以上(条件を満たす機器は停電して行う点検だけ3年に1回以上)が原則です。
自社の頻度と停電の周期は、保安規程と保安管理の委託契約書の点検の欄で確かめてください。本記事は、新しくキュービクルを担当する設備担当の方に向けて、2つの点検の違いを、頻度・中身・停電の有無に分けて、電気事業法と経済産業省の告示・内規をもとに整理したものです。
| 比べる点 | 月次点検 | 年次点検 |
|---|---|---|
| 設備の状態 | 運転したまま | 主に停電して止める |
| 頻度(外部委託の原則) | 毎月1回以上 | 1年に1回以上 |
| 主な中身 | 外観点検と、電圧・負荷電流・漏えい電流の測定 | 月次の内容に加えて、絶縁・接地・保護継電器・非常用発電機・蓄電池などの試験 |
この記事で紹介した制度・料金・各社の情報は、2026年10月7日〜10月13日に確かめた時点のものです。
結論|月次は「運転したまま変化を見る」、年次は「止めて性能を試す」
月次点検と年次点検のいちばんの違いは、設備を動かしたまま見るか、止めて試すかです。月次点検は運転中の異常の兆しを早く見つけるための点検で、年次点検は事故のときに保護装置が働くか、絶縁と接地が技術基準を満たしているかを確かめるための点検です。
| 比べる点 | 月次点検 | 年次点検 |
|---|---|---|
| 定義(内規) | 設備が運転中の状態において行う点検 | 主として停電により設備を停止状態にして行う点検 |
| 停電 | しない | 停電が原則。条件を満たす機器は、3年のうち2年を停電しない点検にできる |
| 頻度(外部委託の原則) | 毎月1回以上 | 1年に1回以上 |
| 頻度が変わる条件 | 設備容量、設備の構成、絶縁監視装置の有無などで、隔月・3か月に1回以上 | 信頼性の高い機器は、停電して行う点検を3年に1回以上 |
| 外観で見るもの | 引込設備から負荷設備まで9つの区分の、異音・異臭・損傷・過熱など | 月次点検と同じ |
| 測る・試すもの | 電圧・負荷電流、B種接地工事の接地線に流れる漏えい電流 | 低圧の絶縁抵抗と高圧の絶縁、接地抵抗、保護継電器の動作特性と遮断器との連動、非常用予備発電装置、蓄電池設備、高濃度PCBの含有の確認 |
| 分かること | 電圧の異常・過負荷、低圧回路の絶縁の変化 | 事故のときに保護装置が働くか、絶縁と接地が技術基準を満たすか |
| 施設側がすること | 立会い、鍵の用意、異常が無かったかの問診に答える | 停電の日程と範囲の調整、止められない設備の手当て、関係者への周知 |

名前に「月」と付いていますが、内規の定義では、月次点検は「委託契約書に頻度を定める点検であって、設備が運転中の状態において行うもの」です。隔月や3か月に1回の事業場でも、運転中に行う定期の点検は「月次点検」と呼びます。点検の種類や停電の進め方の全体像は、親ページのキュービクル点検ガイドで解説しています。
点検の頻度は誰が決めるのか|保安規程と外部委託の条件
点検の頻度と中身は、まず自社の保安規程で決まります。外部委託(電気管理技術者・電気保安法人)で保安管理をしている事業場は、それに加えて告示で決まった頻度で点検することを委託契約に定めるのが承認の要件です。
高圧で受電するキュービクルは、電気事業法の「事業用電気工作物」にあたります。設置者には、次の3つが求められています。
| 設置者に求められること | 根拠 | 点検との関係 |
|---|---|---|
| 技術基準に適合するように維持する | 電気事業法39条1項 | 点検は、技術基準に合った状態を保っているかを確かめるために行う |
| 保安規程を定め、使用の開始前に届け出る。変更したら遅滞なく届け出る。設置者と従業者は保安規程を守る | 電気事業法42条1項・2項・4項 | 保安規程には「保安のための巡視、点検及び検査に関すること」を定める(電気事業法施行規則50条3項3号) |
| 主任技術者を選任して、保安の監督をさせる | 電気事業法43条1項 | 外部委託の承認を受けた事業場は、主任技術者を選任しないことができる(施行規則52条2項) |
体制によって、頻度の決まり方が違う
| 保安管理の体制 | 点検する人 | 頻度の決まり方 |
|---|---|---|
| 電気主任技術者を自社で選任(社員・兼任など) | 選任した電気主任技術者の監督のもとで行う | 保安規程に定めた巡視・点検・検査の内容で行う(施行規則50条3項3号)。選任の場合の頻度を一律に定めた官公庁の規定は見当たらない |
| 外部委託(電気管理技術者・電気保安法人) | 委託先の電気管理技術者、または電気保安法人の保安業務従事者 | 告示で決まった頻度で点検することを委託契約に定める(施行規則53条2項5号)。年次点検の頻度は内規で決まっている |
外部委託の承認は、所轄の産業保安監督部長が出します。委託先や点検の頻度を変えるときは、委託契約を結び直したうえで、承認の手続きが要るかを委託先と所轄の産業保安監督部の案内で確かめます。保安規程を変えたら、遅滞なく届け出ます(電気事業法42条2項)。委託先の選び方と料金の決まり方は、キュービクルの保安管理費の記事で整理しています。
自社の頻度を確かめる3つの書類
| 書類 | 見る場所 | 分かること |
|---|---|---|
| 保安規程(届け出た写し) | 巡視・点検・検査の条と、点検の種類・周期の別表 | 点検の種類、頻度、停電して行う点検の周期 |
| 保安管理業務の委託契約書 | 点検の頻度、業務の範囲、設置者の義務の条 | 月次点検・年次点検の頻度、月額に含む業務、絶縁監視装置の扱い |
| 点検の記録・年次点検の報告書 | 実施日、測定値、指摘 | 実際の間隔が保安規程と合っているか |
月次点検の頻度|毎月が原則、設備の条件で隔月・3か月に1回
外部委託の月次点検の頻度は、点検の頻度に関する告示(平成15年経済産業省告示第249号)の第4条で、設備の条件ごとに決まっています。下のどれにも当てはまらない需要設備は、毎月1回以上です。
| 月次点検の頻度 | 当てはまる需要設備 | 告示第4条 |
|---|---|---|
| 3か月に1回以上 | 小規模高圧需要設備(設備容量64kVA未満。非常用予備発電装置を設置するものを除く)。登録点検業務受託法人が受託している場合は6か月に1回以上 | 6号 |
| 隔月1回以上 | 「信頼性の高い需要設備」(下の4つの条件を全部満たす)で、設備容量が100kVA以下のもの | 7号 |
| 隔月1回以上 | 4つの条件を全部満たし、低圧電路の絶縁状態を的確に監視できる装置(絶縁監視装置)があるもの。または、非常用照明・消防設備・昇降機などへの電路以外の低圧電路に漏電遮断器を付けたもの | 8号イ |
| 毎月1回以上(離れた場所から点検できる) | 4つの条件を全部満たし、絶縁監視装置があり、第三者認証を取った機械器具などで、設置場所と違う場所から的確に点検できるようにしたもの | 8号ロ |
| 3か月に1回以上 | 4つの条件を全部満たし、低圧電路の絶縁状態と負荷を的確に監視できる装置があり、主遮断装置と、責任分界点から主遮断装置までの開閉器・遮断器・配線が適切に更新されているもの | 8号ハ |
| 3か月に1回以上 | 7号に当てはまり、受電設備が屋内に設置したキュービクル式で、蓄電池設備・非常用予備発電装置がないもの | 9号 |
| 毎月1回以上 | 上のどれにも当てはまらない需要設備 | 10号 |
| 毎週1回以上 | 設置・改造などの工事期間中の需要設備 | 11号 |
「信頼性の高い需要設備」の4つの条件
隔月や3か月に1回になる設備の多くは、告示第4条第7号イ〜ニの設備の条件を全部満たしていることが前提です。
- 柱上に高圧変圧器がない。または、柱上の高圧変圧器とその支持物が落下しないように設置され、変圧器の上面を的確に点検できるようにしてある(2026年10月1日の改正で後半が加わりました)
- 高圧負荷開閉器(キュービクル内に設置するものを除く)に、可燃性の絶縁油を使っていない
- 責任分界点またはその近くに、地絡保護継電器付高圧交流負荷開閉器(GR付PASなど)または地絡遮断器がある
- 責任分界点から主遮断装置までの間に、電力需給用計器用変成器・地絡保護継電器用変成器など告示が挙げる変成器以外の変成器がない
3つ目の条件にある責任分界点の開閉器は、構内の地絡事故を切り離して、電力会社の配電線への波及事故を防ぐ機器です。役割と交換の時期はPAS交換費用の記事、波及事故の仕組みは波及事故の記事で解説しています。

絶縁監視装置(遠隔監視)を付けると何が変わるか
絶縁監視装置は、低圧電路の絶縁状態を監視し、漏えい電流が設定した値を超えると委託先へ警報を送る装置です。付けただけで頻度が下がるわけではなく、上の4つの条件と組み合わせて初めて頻度が変わります。
| 装置の使い方 | 月次点検の頻度 | 注意すること |
|---|---|---|
| 絶縁状態を監視する(8号イ) | 隔月1回以上 | 装置の代わりに、非常用設備への電路以外の低圧電路に漏電遮断器を付けてもよい |
| 離れた場所から点検する(8号ロ) | 毎月1回以上のまま | 3か月に1回以上は現地で行う。遠隔で点検することを保安規程に定める(内規) |
| 絶縁状態と負荷を監視し、主遮断装置等を更新している(8号ハ) | 3か月に1回以上 | 2025年4月1日施行の改正で追加。主遮断装置等が計画どおり更新されているかを年次点検で確かめる(内規) |
8号の装置がある事業場では、警報が鳴ったときの対応も内規で決まっています。警報が鳴り始める漏えい電流の設定は50ミリアンペアが上限で、警報を5分以上続けて受けたとき、または5分未満の警報を繰り返し受けたときは、委託先が原因を調べて処置し、受けた記録を3年間保存します。
頻度が下がれば委託料が変わることもありますが、装置の設置費・通信費・保守費がかかり、年次点検はなくなりません。料金の比べ方は保安管理費の記事で整理しています。
月次点検の中身|内規が定める標準の点検項目
月次点検は、外観点検、2つの測定、問診でできています。外部委託の事業場では、内規(4.(7)②)にこの中身が決められています。
| 外観点検で見ること | 担当者が気づける例 |
|---|---|
| 電気工作物の異音、異臭、損傷、汚損等の有無 | ブーンという音が前より大きい、焦げたにおい、外箱のへこみや錆 |
| 電線とそれ以外の物との離隔距離の適否 | 樹木の枝や置き物が引込線・キュービクルに近づいている |
| 機械器具、配線の取付け状態及び過熱の有無 | (扉の中は点検する人が確かめる) |
| 接地線等の保安装置の取付け状態 | 外から見える接地線の外れ・損傷 |
| その他必要に応じて、保安規程に定める項目 | 自社の保安規程の別表を見る |
| 外観点検の対象設備 | 含まれるもの(内規の例示) |
|---|---|
| 引込設備 | 区分開閉器、引込線、支持物、ケーブル等 |
| 受電設備 | 断路器、電力用ヒューズ、遮断器、高圧負荷開閉器、変圧器、電力用コンデンサー及びリアクトル、避雷器、計器用変成器、母線等 |
| 受電盤・配電盤 | ― |
| 接地工事の施設状況 | 接地線、保護管等 |
| 構造物・配電設備 | 受電室建物、キュービクル式受電設備・変電設備の金属製外箱等 |
| 発電設備 | 原動機、発電機、始動装置等 |
| 蓄電池設備 | ― |
| 負荷設備 | 配線、配線器具、低圧機器等 |
| その他 | 必要に応じて、保安規程に定める設備 |
| 測定 | 確かめること |
|---|---|
| 電圧、負荷電流の測定 | 電圧値の適否、過負荷等 |
| B種接地工事の接地線に流れる漏えい電流の測定 | 低圧回路の絶縁状態 |
漏えい電流を測るのは、停電しなくても低圧回路の絶縁の変化をつかめるからです。電気設備の技術基準の解釈14条は、低圧電路で絶縁抵抗の測定が難しい場合に、使用電圧が加わった状態の漏えい電流が1mA以下であることを絶縁性能の基準の1つとしており、その解説は、停電せずに絶縁性能を判定するための基準だと説明しています。月次点検では、内規に従ってB種接地工事の接地線に流れる漏えい電流を測り、低圧回路の絶縁状態を確かめます。
測定と外観点検のほかに、点検する人は設置者と従業員に「電気工作物に異常が無かったか」を聞き(問診)、異常があればその観点から点検します。前回の点検から気づいたこと(停電した、ブレーカーが落ちた、異音がした など)を日付つきでメモしておくと、問診で正確に伝えられます。
年次点検の中身|停電して確かめる7つの項目
年次点検は、月次点検の内容に加えて、次の項目をすべて確認し、必要に応じて測定・試験を行う点検です(内規4.(7)③ロ)。主に停電して設備を止めた状態で行います。
| 項目 | 確かめること(内規の要旨) | 判断の基準 |
|---|---|---|
| ①絶縁 | 低圧電路の絶縁抵抗と、高圧電路が大地・他の電路と絶縁されていること | 低圧は電気設備に関する技術基準を定める省令58条の値以上(下の表) |
| ②接地抵抗 | 接地抵抗値 | 電気設備の技術基準の解釈17条に規定された値以下 |
| ③保護継電器 | 保護継電器の動作特性試験と、保護継電器と遮断器の連動動作試験 | 結果が正常であること |
| ④非常用予備発電装置 | 常用電源の停電時に自動で起動し、停電の復旧後に停止すること。発電電圧と周波数(回転数) | 正常であること |
| ⑤蓄電池設備 | セルの電圧、電解液の比重、温度等 | 正常であること |
| ⑥PCB | 変圧器・電力用コンデンサー・計器用変成器・開閉器・遮断器・避雷器などが、高濃度PCB含有電気工作物に当たるかどうか | 確認すること |
| ⑦主遮断装置等の更新 | 主遮断装置と、責任分界点から主遮断装置までの開閉器・遮断器・配線が、計画どおり更新されていること | 告示第4条第8号ハの事業場だけ |
| 低圧電路の使用電圧の区分 | 絶縁抵抗の値(以上) |
|---|---|
| 300V以下で、対地電圧が150V以下の場合 | 0.1MΩ |
| 300V以下で、その他の場合 | 0.2MΩ |
| 300Vを超えるもの | 0.4MΩ |
キュービクルの外観の清掃や高圧ケーブルの診断などは、内規の項目には入っていませんが、保安規程や委託契約で加えている場合があります。何が年次点検に含まれ、何が別料金かは、委託契約書の業務の範囲で確かめます。⑥のPCBは、低濃度PCBの確認方法と処分期限も含めて低濃度PCBとキュービクルの記事で解説しています。
年次点検の報告書で「不良」「要改修」などの指摘を受けたときの進め方は、年次点検で指摘を受けたときの記事で、期限の決め方まで順に説明しています。
停電の有無|年次点検は停電が原則、3年のうち2年を無停電にできる場合も
月次点検は停電しません。年次点検は、主に停電して行います。内規は年次点検を「1年に1回以上」としたうえで、信頼性が高く、停電点検と同等と認められる点検が1年に1回以上行われている機器は、停電して行う点検を3年に1回以上にできるとしています(内規4.(7)③イ)。
3年に1回になるのは停電して行う点検だけで、年次点検そのものは毎年あります。関東東北産業保安監督部の「無停電年次点検の適用の考え方」では、3年のうち1年を停電年次点検、残りの2年を充電したまま行う年次点検(無停電年次点検)で行う形になっています。
停電点検を3年に1回にできる条件
経済産業省 電力安全課の資料(令和3年3月。「主任技術者制度に関するQ&A」に収録)は、「信頼性が高い機器」の要件として次の5つを挙げています。
- 設計上・製作上・施工上の支障がない
- 設備の構成に一定の信頼性がある(例:上の「信頼性の高い需要設備」の4つの条件をすべて満たす)
- 設備の環境に支障がない
- 次の停電年次点検(3年後)までの信頼性に支障がない
- 保安管理の体制に支障がない
停電しない年の点検は、絶縁監視装置や漏れ電流計、簡易な接地抵抗の測定などで、停電点検に代わる確認をします。適用の判断は各産業保安監督部が地域の使用環境などを考えて行い、たとえば関東東北産業保安監督部は、事業場単位で当面は需要設備に限ること、地絡保護継電器付高圧交流負荷開閉器(PASなど)が製造から10年以内(供給用配電箱内は15年以内)であること、20年分の長期年次点検計画があることなどを挙げています。条件は監督部ごとに違うので、自社の設備が対象になるかは電気主任技術者(委託先)に確かめてください。点検の結果が不適当なら、停電点検に戻ります。
停電する年次点検の前に決めておくこと
- 停電する範囲と時間帯(点検の項目と非常用発電機の試験の有無で変わる)
- 止められない設備(冷蔵・冷凍、サーバー、医療機器、ポンプなど)の手当てと、復電後に立ち上げ直す設備の一覧
- テナント・社内・警備会社などへの周知の担当と期限
当日の流れと準備する書類はキュービクル点検ガイドに、停電できない設備を抱える施設の考え方はキュービクル故障に備えるBCPと病院・医療施設のキュービクル更新にまとめています。
保安規程の点検の項|官公庁の例で見る書かれ方
中国四国産業保安監督部が届出の様式として公開している保安規程の条文例では、点検の条に「別表の基準に従って行う」と書き、点検の種類・頻度・項目は別表に書く形になっています。自社の保安規程も、まず点検の条と別表を探すと早く読めます。
| 条文例 | 点検の条の書き方(原文) |
|---|---|
| 外部委託(電気保安法人)用 第13条 | 電気工作物の維持及び運用に関する保安のための巡視、点検及び試験は、別表に定める基準に従い実施するものとする。(2項)電気保安法人は、巡視、点検及び試験を行うほか、設置者及びその従業員に、日常巡視等において異常等がなかったか否かの問診を行い、異常があった場合には、電気保安法人としての観点からの点検も実施するものとする。 |
| 自社で電気主任技術者を選任する場合 第15条 | 電気工作物の保安のための巡視、点検及び測定は、別表第1に定める基準により行わなければならない。(2項)電気主任技術者は、別表第1に定める基準により電気工作物の保守業務の指導監督を行うにあたっては、当事業場の営業活動等と調整を図り年度実施計画を作成し、総括管理者の承認を経てこれを実施しなければならない。 |
外部委託用の別表の例|点検の種類と回数
外部委託用の点検基準表の例は、点検を5つの種類に分け、月次点検の回数は告示第249号に、年次点検は1年に1回以上によるとしています。
| 点検の種類 | 定義(例の原文) | 実施回数(例の原文) |
|---|---|---|
| 月次点検 | 主として施設の運転中に行う点検、測定及び試験 | 経済産業省「告示第249号」に基づくものとする |
| 年次点検 | 主として施設の運転を停止して行う精密な点検、測定及び試験 | 1年に1回以上行うものとする |
| 臨時点検 | 異常が発生した場合の原因探求等 | 必要の都度実施するものとする |
| 工事期間中の点検 | 設置又は変更の工事期間中において、工事期間中でないと点検できない箇所を重点的に行う点検 | 工事期間中において毎週1回以上行うものとする |
| 竣工検査 | 設置又は変更の工事が完成した場合において、関係法令等に基づき施工されているか確認する精密な点検、測定及び試験 | 工事完成後行うものとする |
同じ例の別表は、機器ごとに月次点検と年次点検で行う項目に印を付ける形です。受電設備の欄を要約すると、次のとおりです。年次点検だけにある「観察点検」は、施設の運転を止めて、外観点検に加えて手指を接触させて確かめる点検と定義されています。
| 電気工作物 | 月次点検 | 年次点検 |
|---|---|---|
| 責任分界の開閉器・引込線・ケーブル | 外観点検 | 外観点検、観察点検、絶縁抵抗測定、継電器動作試験、継電器との結合動作試験 |
| 遮断器・開閉器 | 外観点検 | 外観点検、観察点検、絶縁抵抗測定、継電器動作試験、継電器との結合動作試験、絶縁油の点検・試験、内部点検 |
| 断路器・電力用ヒューズ・避雷器・計器用変成器・母線・電力用コンデンサなど | 外観点検 | 外観点検、観察点検、絶縁抵抗測定 |
| 変圧器 | 外観点検、漏えい電流測定 | 外観点検、漏えい電流測定、観察点検、絶縁抵抗測定、絶縁油の点検・試験、内部点検 |
| 配電盤・制御回路 | 外観点検、電圧・電流測定 | 外観点検、電圧・電流測定、観察点検、絶縁抵抗測定、継電器動作試験 |
| 建物・室・キュービクルの外箱 | 外観点検 | 外観点検、観察点検 |
| 接地装置 | 外観点検 | 外観点検、観察点検、接地抵抗測定 |
| 絶縁監視装置 | 外観点検、設定値確認、検知動作試験、自動伝送試験 | 月次の項目に加えて、設定値の誤差確認 |
「月次」「年次」と書いていない保安規程もある
自社で電気主任技術者を選任する場合の例(別表第1「巡視点検測定及び手入基準」)は、点検を「日常巡視点検手入」「定期巡視点検手入」「精密点検手入」「測定」に分け、機器ごとに周期を書く形です。たとえば受電用変圧器は、日常巡視点検手入が1か月、定期巡視点検手入(停止して各部の損傷・ゆるみ・油量などを見る)が1年、精密点検手入(停止して内部を点検)が5年〜10年、絶縁抵抗と接地抵抗の測定が1年となっています。
このように、保安規程によって点検の呼び方も区切り方も違います。着任したら、一般的な「月次・年次」の説明に当てはめる前に、自社の保安規程の別表で次の5か所を確かめてください。
| 確かめる箇所 | 見ること |
|---|---|
| ①点検の条 | どの別表に従うと書いてあるか。点検する人(電気主任技術者・委託先) |
| ②点検の種類の名前 | 月次・年次か、日常巡視・定期・精密か。それぞれの定義 |
| ③頻度 | 運転中の点検の周期、停電して行う点検の周期、機器ごとの精密点検の周期 |
| ④監視装置と遠隔点検 | 絶縁監視装置の有無と点検項目、離れた場所から点検する旨の定め |
| ⑤設置者側の役目 | 問診への協力、停電への協力、異常を見つけたときの連絡先 |
新任の設備担当が最初にすること|自社の点検の予定をつかむ
着任したら、まず「自社の点検は、誰が・いつ・何をするか」を書類で確かめます。月次と年次の違いを一般論で覚えるより、自社の保安規程と委託契約書の点検の欄を読むほうが、次の点検に間に合います。
総務・前任者・電気主任技術者(外部委託なら委託先)に、届け出た保安規程の写しと、保安管理業務の委託契約書のありかを聞きます。見つからないときは、委託先に写しを出してもらいます。
保安規程の点検の項と別表から、月次点検・年次点検・臨時点検などの種類と頻度、停電して行う点検の周期を1枚に書き出します。絶縁監視装置の有無も、ここで確かめます。
月次点検の記録と直近の年次点検の報告書を、日付順に並べます。実施日の間隔が保安規程の頻度と合っているか、まだ対応していない指摘が残っていないかを見ます。
次の年次点検の予定日、停電する範囲と時間帯、止められない設備の扱いを、電気主任技術者(委託先)と確かめます。テナントや社内への周知が要るなら、担当と期限を決めます。
異音・異臭・煙・停電などに気づいたときに、誰が誰へ連絡するかを決め、連絡先を掲示します。施設の担当者はキュービクルの扉を開けず、離れて連絡します。

よくある質問
- 隔月点検の事業場でも「月次点検」と呼びますか?
-
はい。内規の定義では、月次点検は「委託契約書に頻度を定める点検であって、設備が運転中の状態において行うもの」です。隔月や3か月に1回でも、運転中に行う定期の点検は月次点検と呼びます。
- 年次点検をする月にも、月次点検はありますか?
-
年次点検は月次点検の内容に加えて行う点検なので、年次点検の中で月次点検の項目も確かめます。同じ月に別の日の月次点検を行うかどうかは、委託契約書と保安規程の決め方によります。
- 絶縁監視装置を付ければ、月次点検は隔月になりますか?
-
装置だけでは変わりません。告示第4条第7号イ〜ニの設備の条件をすべて満たしたうえで、絶縁監視装置(または漏電遮断器)があると隔月1回以上になります(8号イ)。離れた場所から点検する形(8号ロ)は、毎月1回以上のままです。
- 絶縁監視装置があれば、年次点検は要りませんか?
-
要ります。年次点検は1年に1回以上で、絶縁監視装置は月次点検の頻度や、停電点検を3年に1回にする条件の判断に関わるだけです。保護継電器と遮断器の連動や接地抵抗は、年次点検で確かめます。
- 年次点検は必ず停電しますか?
-
停電して行うのが原則です。信頼性が高く、停電点検と同等の点検が毎年行われている機器は、停電して行う点検を3年に1回以上にでき、残りの年は停電しない年次点検になります。対象になるかは、所轄の産業保安監督部の考え方と設備の状態で決まります。
- 施設の担当者が月次点検を代わりにしてもよいですか?
-
月次点検・年次点検は、保安規程に従い、選任した電気主任技術者または委託先が行います。施設の担当者はキュービクルの扉を開けず、外から気づいた異音・異臭・損傷などを記録して、問診のときに伝えてください。
- 点検の頻度を変えるには何が要りますか?
-
外部委託の場合は、設備が告示の条件に当てはまることと、その頻度を定めた委託契約が要ります。保安規程を変えたときは、遅滞なく産業保安監督部へ届け出ます(電気事業法42条2項)。離れた場所から点検する形にするなら、その旨を保安規程に定めます。
- 年次点検で指摘を受けたら、まず何をすればよいですか?
-
指摘された機器・測定値・判定・期限を1件ずつ書き出し、緊急度を電気主任技術者(委託先)に確かめます。異音・異臭・煙・発熱があるときは、報告書を読むより先に連絡してください。進め方は年次点検で指摘を受けたときの記事にまとめています。
まとめ|違いを覚えるより、自社の保安規程で頻度と停電の周期を確かめる
- 月次点検は、運転したまま外観と測定(電圧・負荷電流、B種接地の漏れ電流)で変化を追う点検
- 年次点検は、停電して絶縁・接地・保護継電器の連動・非常用発電機・蓄電池を確かめる点検で、月次点検の内容も含む
- 外部委託の頻度は、月次点検が毎月1回以上(設備の条件で隔月・3か月に1回以上)、年次点検が1年に1回以上(信頼性の高い機器は停電して行う点検だけ3年に1回以上)
- 自社の頻度は、保安規程の点検の項と別表、委託契約書、点検の記録の3つで確かめる
- 年次点検の報告書で指摘を受けたら、内容・期限・停電の要否を整理してから対応を決める
年次点検の報告書を受け取ったあと、指摘をどの順で片付けるかは年次点検で指摘を受けたときの対応チェックリスト(無料資料)にまとめています。報告書の判定の読み方は点検報告書の見方で解説しています。
指摘への改修費用や、保安管理費を含めた設備の持ち方を見直したい場合は、4つの質問に答えるだけで所有権移転型の月額の目安を確かめられます。点検書がまだ手元に無くても始められます。対象は高圧受電(キュービクル設置)の施設です。低圧・特別高圧での受電と、沖縄・離島は対象外となります。
参考にした一次情報
- e-Gov法令検索「電気事業法」(39条・42条・43条)
- e-Gov法令検索「電気事業法施行令」(47条)
- e-Gov法令検索「電気事業法施行規則」(50条・52条・53条)
- e-Gov法令検索「電気設備に関する技術基準を定める省令」(58条)
- 経済産業省「電気事業法施行規則第五十二条の二第一号ロの要件等に関する告示」(平成15年経済産業省告示第249号、PDF)(最終改正 令和8年10月1日 経済産業省告示第127号)
- 関東東北産業保安監督部掲載「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」(PDF)(最終改正 令和7年4月1日)
- 経済産業省 電力安全課「主任技術者制度に関するQ&A」(関東東北産業保安監督部掲載、PDF)(令和8年1月)
- 関東東北産業保安監督部「主任技術者制度の解釈及び運用における無停電年次点検の適用の考え方について」(PDF)
- 関東東北産業保安監督部「外部委託承認制度」
- 経済産業省「『電気事業法施行規則第五十二条の二第一号ロの要件等に関する告示』等の一部改正について」(令和7年4月1日施行)
- 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」(PDF)(14条・17条、令和6年10月22日改正版、2026年10月7日参照)
- 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈の解説」(PDF)(14条、2026年10月7日参照)
- 中国四国産業保安監督部「保安規程について」
- 中国四国産業保安監督部「保安規程条文(例)」(PDF)
- 中国四国産業保安監督部「保安規程条文(例)(外部委託法人用)」(PDF)
- 中国四国産業保安監督部「点検基準表(例)(外部委託用)」(PDF)
- 中国四国産業保安監督部「点検基準表(例)」(PDF)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。点検の項目・頻度・停電の方法は、保安規程、設備の構成、委託契約、所轄の産業保安監督部の運用によって異なります。施設の担当者はキュービクルの扉を開けたり、機器を操作したりせず、電気主任技術者または委託先に確認してください。



