VCB交換費用はいくら?真空遮断器の役割・交換時期・試験

VCB交換費用はいくら?真空遮断器の役割・交換時期・試験と見積で確かめる項目。工事会社の公開価格は1台44万〜100万円

VCB(真空遮断器)は、短絡や過電流などの異常な電流を遮断する受電設備の要の機器で、交換費用は、工事会社が公開している価格で1台およそ44万〜100万円です。株式会社MECの料金表では三菱製439,780円・東芝製462,000円〜・富士電機製528,000円(いずれも税込)、株式会社キーネックスは概算で60〜100万円程としています(2026年10月19日確認。キーネックスは税の記載なし)。官公庁の契約では、1台の交換修繕が680,000円(埼玉県吉川市)、11台の更新が23,408,000円(総務省 自治大学校。1台あたり約213万円)の例があります。

ただし総額は、VCBの定格、固定形か引出形か、操作方式と制御の電源、保護継電器を一緒に替えるか、盤の改造、交換後の試験、停電と仮設の電源で変わります。見積を比べる前に、点検報告書・単線結線図と、電気主任技術者か工事会社に撮ってもらったVCBの銘板の写真をそろえ、同じ工事範囲で見積を取り直してください。

本記事は、年次点検などでVCB(真空遮断器)の不良や更新を指摘された施設の経営者・総務・施設管理の担当の方に向けて、VCBの交換費用の内訳と、交換時期・試験・停電工事の段取りを、メーカー・業界団体・送配電会社・国の資料をもとに整理したものです。VCBを使わずに高圧限流ヒューズと負荷開閉器で受電している設備(PF・S形)もあります。どちらの形かはキュービクルの構成機器一覧で確かめられます。

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項目目安根拠
交換費用(公開価格の例)1台およそ44万〜100万円工事会社5社の料金表・概算・施工事例(税込・税別・税の記載なしが混ざる)
官公庁の契約の例1台の交換修繕で680,000円、11台の更新で1台あたり約213万円埼玉県吉川市・総務省 自治大学校の入札・見積の結果
費用に入りやすいものVCB本体と取付各社の料金表の「VCB交換」の行
別途になることがあるもの申請・搬入、停電中の発電機、試験、盤の加工、夜間・休日の割増MECの料金表の注記と別の行、キーネックスの変動の条件
交換時期の目安20年又は規定開閉回数(開閉回数はメーカーの値)JEMAの更新推奨時期。保証値でも法定の期限でもない
点検と試験年次点検で保護継電器と遮断器の連動動作試験、交換のあとも絶縁抵抗・開閉の動作・連動を確かめる経済産業省の内規、メーカーの点検の資料
停電受電の主遮断のVCBなら施設全体が止まる。キーネックスは停電2〜4時間としているキーネックスの案内
一緒に検討するもの保護継電器(JEMAの更新推奨時期は15年)、古い油遮断器ならPCBの分析JEMA・環境省
編集部作成(2026年10月19日確認)。金額は工事会社が公開している価格の例で、相場や上限・下限ではありません。

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目次

VCBとは?事故の電流を遮断して、構内の事故を広げない機器

VCB(Vacuum Circuit Breaker、真空遮断器)は、真空の中で電流を切る高圧の遮断器です。ふだんの回路の開け閉めに加えて、保護継電器(OCRなど)の指令を受けて、短絡や過電流などの事故の電流を遮断します。

国の決まりでも、事故の電流を切る装置は欠かせません。電気設備に関する技術基準を定める省令は、第14条で「電路の必要な箇所には、過電流による過熱焼損から電線及び電気機械器具を保護し、かつ、火災の発生を防止できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない」と定め、第15条で、地絡(漏電)に対しても地絡遮断器の施設などの措置を求めています。経済産業省の「電気設備の技術基準の解釈」第34条は、高圧の電路に施設する過電流遮断器に、短絡したときに働くものは「これを施設する箇所を通過する短絡電流を遮断する能力を有すること」を求めています。VCBを替えるときに定格遮断電流を確かめるのは、このためです。

VCBの役割と、DS(断路器)・LBS(負荷開閉器)との違いは、親記事のキュービクルの構成機器一覧で詳しく解説しています。

CB形とPF・S形|VCBがある受電設備とない受電設備

東京電力の需要家向けの資料「高圧受電設備について」は、PF付きLBSを「PF・S型キュービクルの主開閉器」で、付属の高圧限流ヒューズで短絡保護を行うもの、VCBを「真空中で電流を遮断(消弧)する装置」で「寿命も長く保守も容易」なものと説明しています。受電の主遮断装置にVCBなどの遮断器を使う設備はCB形と呼ばれ、PF・S形の設備には受電用のVCBがありません。どちらの形かは、単線結線図と点検報告書で電気主任技術者に確かめてもらいます。

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受電設備の形事故の電流を切るものVCBの交換費用の話になるか
CB形VCBなどの遮断器(保護継電器の指令で開く)なる。受電の主遮断のVCBを替えると、施設全体の停電が要る
PF・S形高圧限流ヒューズ(PF)受電用のVCBは無い。変圧器などの分岐にVCBがある設備もあるので、単線結線図で確かめる
東京電力「高圧受電設備について」と当サイトの構成機器一覧から編集部作成。

VCBと保護継電器は組で動く

VCBは、自分で事故を見つけるわけではありません。過電流継電器(OCR)や地絡継電器(GR・DGR)が、変流器(CT)などを通して異常な電流を見つけ、VCBに「開け(引外し)」の信号を送ります。そのため、VCBを替えるときは、既設の保護継電器と引外しの方式が合うかを確かめます。整定値(動く電流と時間)が今の設備に合っているかは電気主任技術者が保護協調から確かめ、交換のあとの連動試験で、保護継電器が動いたときに新しいVCBが確実に開くことを確かめます。

東京電力パワーグリッドの設計の資料も、需要家に「短絡故障保護用として過電流リレーを,地絡故障保護用として地絡リレー」を設置してもらうとしています。JEMA(日本電機工業会)は、保護継電器の更新推奨時期を使用開始後15年としています(製造者の保証値ではなく、日常点検と定期点検をしていることが前提)。VCBの20年より先に来るので、VCBを替えるときは保護継電器が何年目かも確かめておくと、停電を1回にまとめられることがあります。

VCBの種類|固定形と引出形、操作方式

受電設備用のVCBは、定格電圧7.2kV・定格電流600A・定格遮断電流12.5kAの機種が各社にありますが、操作方式(手動ばね・電動ばね・電磁)と取付の形(固定形・引出形)は機種ごとに違い、開閉の寿命も変わります。

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メーカーと機種の例定格の例操作方式と取付の形開閉の寿命(メーカーの値)
東芝 V6C・V6D600A・12.5kA(V6C)V6Cは手動ばね・固定形、V6Dは電動ばね・固定形と水平引出形V6Cは機械的寿命・負荷開閉寿命とも1,000回、V6Dは10,000回
富士電機 MULTI.VCB HA12A□3.6/7.2kV・600A・12.5kA手動ばね(H)は固定形のみ、電動ばね(A〜D)は固定形か引出形手動ばねは機械的・電気的寿命とも1000回、電動ばねは10000回
日立産機システム VS-6F-12A MAC ほか7.2/3.6kV・600A・12.5kA電磁操作(ハイブリッド形)、引出形負荷開閉10,000回、経年寿命20年を目安
明電舎 VR-1D(NVBRD-6213S-M)7.2kV・600A・12.5kA電磁操作、引出し読んだ資料には記載なし
三菱電機 VF-8-M-D・VF-13-M-D7.2/3.6kV・400A/600A・8kA/12.5kA読んだページには記載なし読んだページには記載なし
各社の製品ページ・カタログから編集部作成(2026年10月19日確認)。代表的な機種の例で、すべての機種ではありません。

東芝のカタログは、手動ばね・固定形のV6Cを「JIS C 4620 キュービクル式高圧受電設備」に使える機種としています。東芝と富士電機の例では、手動ばね形と電動ばね形で、メーカーが示す開閉の寿命が10倍違います。開閉の多い回路か、遠くから操作したいかで選ぶ機種が変わり、価格も変わることがあります。どれを選ぶかは、今の設備の使い方を電気主任技術者と工事会社に伝えて決めます。

VCB交換費用の目安|公開されている工事価格の例

工事会社が公開しているVCBの交換の価格は、1台およそ44万〜100万円です。ただし多くは「〜」「から」の最低額で、申請・搬入・発電機・試験などが別になっていることがあります。

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会社(地域)公開されている価格税の表記含むもの・条件(各社の記載)
株式会社MEC(神奈川県厚木市、関東一帯)三菱製 439,780円、東芝製 462,000円〜、富士電機製 528,000円税込東芝製は「TとUで加工材料が変わります」。ページの注記に「下記以外にも申請費用や搬入費用などがかかります」。停電時の発電機は別の行で506,000円(税込)〜
有限会社サイデン(埼玉県)目安交換工事費 50万円〜記載なし「施工状況、メーカー、種類により金額は上下します」
株式会社小谷野電気(群馬県高崎市)45万〜80万円前後(機器代込)税別「参考価格です。施工エリアや諸条件によって変動」
株式会社キーネックス(名古屋市・近郊)概算工事費用 60〜100万円程記載なし「前面パネルの加工の有無、高圧電線や制御線の既設使用の可否などにより変動」「停電時間は2〜4時間」
恒電社(施工事例、東京都葛飾区・印刷業)費用レンジ 100万円以下記載なしパネル取付形のVCB(電流引外し)の交換。撤去・据付・動作試験・産廃処理・報告書まで
各社のサイトから編集部作成(2026年10月19日確認)。キャンペーン価格・期間限定の価格と、いつの価格か分からないものは載せていません。相場や上限・下限ではありません。

公開価格のある会社は関東・中部に偏っていて、地域・メーカー・定格・取付の形で金額は変わります。MECのように、メーカーごとに価格を分けている会社もあります。見積を取るときは、銘板のメーカーと型式を先に伝えると、話が早く進みます。

官公庁の入札の結果|仕様が決まった工事の実際の契約額

官公庁の入札や見積の結果は、仕様書で工事の範囲が決まったうえでの実際の契約額です。

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発注者件名・中身金額わかること
埼玉県吉川市(環境センター)環境センター真空遮断器交換修繕(真空遮断器1台、令和7年5月の見積)決定価格 680,000円決定価格に税の表記なし(同じ結果表の設計金額の欄は「税抜」)。定格・停電の時間の記載なし
総務省 自治大学校(東京都立川市)真空遮断器更新作業 一式(電気室の真空遮断器11台、既設は三菱電機の7.2kV・600A・12.5kA)落札価格 23,408,000円(1台あたり約213万円)「真空遮断器本体以外」は既存を使う。新しいVCBの絶縁耐力試験・動作確認まで含み、3月の年次停電点検と同じ日に行う
各発注者の公表資料から編集部作成(2026年10月19日確認)。1台あたりは落札価格を台数で割った編集部の計算です。自治大学校の公示に税の表記はなく、入札書は契約金額の110分の100で書く決まりなので、税込とみられます。

自治大学校の例は、VCBの本体だけを替えて盤はそのまま使い、停電を年次点検の日にまとめています。本体だけの交換でも、台数・試験・停電の段取りまで含めた契約では、工事会社の公開価格より高くなることがあります。

当サイトのキュービクルの構成機器一覧・容量別の更新費用の記事と、無料資料「キュービクル更新費用・機器別相場ガイド」では、VCBの交換の参考レンジを約120万〜200万円/台としています。サービス提供元の提供資料(2026年7月時点)による、現地調査や仕様が決まる前の概算です。上の公開価格は多くが最低額で、別になる項目もあるため、同じ機器でも金額の出方が違います。見積と比べるときは、申請・搬入・発電機・試験・盤の加工まで、含まれる範囲をそろえてください。

VCB交換の見積の内訳

VCBの見積は、本体の価格よりも、本体以外の項目が含まれているかで総額が変わります。次の10項目に分けて、各社の見積を並べてください。

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項目中身公開されている例
VCB本体メーカー・型式・定格・固定形か引出形かMECはメーカーごとに価格を分けている(三菱・東芝・富士電機)
取付・盤の改造取付金具・導体・端子・扉(前面パネル)の加工MECは東芝製で「TとUで加工材料が変わります」、キーネックスは「前面パネルの加工の有無」で変動
保護継電器一緒に替えるときの本体と整定MECは三菱製で「GRなどとセットで割引あり」
制御回路投入・引外しの電源と制御線の手直しキーネックスは「高圧電線や制御線の既設使用の可否」で変動
試験・調整絶縁抵抗・耐電圧・開閉の動作・保護継電器との連動恒電社の事例は動作試験まで含む。試験だけの料金は下の「VCBの試験」の表
主任技術者の立会い停電・復電の操作と確認MECのキャンペーン枠の注記は「主任技術者立会費別途」
電力会社の手続き開閉器の操作の申込みと、送配電会社に払う費用MECの注記に「申請費用」。送配電会社の料金は下の「停電」の表
仮設の電源止められない設備のための発電機MECは停電時の発電機を別の行で506,000円(税込)〜
夜間・休日の割増作業の日時による割増MECは土日・祝日・深夜の割増料金を一律33,000円(税込)としている(新規取引のキャンペーンで5社限定の無料の枠あり)
撤去・処分・諸経費撤去品の処分、搬入・運搬、交通費MECの注記に「搬入費用」。恒電社の事例は産廃処理・報告書まで含む
各社のサイトから編集部作成(2026年10月19日確認)。
VCB交換の見積の内訳10項目(VCB本体、取付・盤の改造、保護継電器、制御回路、試験・調整、主任技術者の立会い、電力会社の手続き、仮設の電源、夜間・休日の割増、撤去・処分・諸経費)に「含む/別途」の印を付ける表。総額は本体以外の項目が含まれているかで変わる。
図1 VCB交換の見積の内訳(本文の表から作成)

VCB交換費用が変わる8つの条件

同じ「VCB 1台」の交換でも、定格・取付の形・制御・保護継電器・盤との取り合い・試験・停電・撤去品の扱いで総額が変わります。

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条件費用が変わる例確かめること
VCBの定格定格電流(400A・600A)、定格遮断電流(8kA・12.5kA など)日立産機システムは「VCBの定格遮断電流の選定は、必ず計算された短絡電流以上としてください」としている。今の受電点の短絡電流に合うか
固定形か引出形か引出形は台車・クレードルとの取り合いがある富士電機は、引出形は配電盤の構造によって盤側の改造が要る場合があるとしている
操作方式と制御の電源手動ばね・電動ばね・電磁操作、引外しの方式(変流器の電流・電圧・コンデンサ)東芝は、CB形で多用されている変流器二次引外し方式は系統容量の増大などで見直しが必要とし、電圧引外し方式(直流電源が無ければコンデンサ引外し方式)を推奨している。方式を変えるなら制御の電源と配線の工事が加わる
保護継電器一緒に替える、整定を見直すJEMAの更新推奨時期は保護継電器15年・VCB 20年。何年目か
盤との取り合い後継機に取付の互換が無いと、固定枠ごとの交換や盤の改造が要る三菱電機の生産終了品の一覧では、機種によって互換性が「あり(本体毎)」と「なし(本体又は固定枠毎)」に分かれる
試験の範囲耐圧試験・竣工試験を別に頼む交換の見積に、絶縁抵抗・耐電圧・開閉の動作・連動の試験と成績書が入っているか
停電と仮設の電源夜間・休日の作業、発電機停電の時間(キーネックスは2〜4時間)、止められない設備、発電機の容量
撤去品の扱い油を使う古い遮断器(OCB)を撤去する絶縁油のPCBの分析をしたか。低濃度PCB廃棄物の処分期間は2027年3月31日まで
メーカー・工事会社・環境省の資料から編集部作成(2026年10月19日確認)。
VCB交換費用が変わる8つの条件:VCBの定格、固定形か引出形か、操作方式と制御の電源、保護継電器、盤との取り合い、試験の範囲、停電と仮設の電源、撤去品の扱い。
図2 VCB交換費用が変わる8つの条件(本文の表から作成)

VCBの交換時期|JEMAの更新推奨時期と部品の供給

VCBの交換時期の目安は、JEMA(日本電機工業会)の更新推奨時期で「20年又は規定開閉回数」です。法律で決まった期限ではなく、製造者の保証値でもありません。

JEMAの調査報告書(DS9201、2023年3月)は、更新推奨時期を「機能や性能に対する製造者の保証値ではなく、通常の環境の下で、通常の保守・点検を行って使用した場合に」新品と交換した方が経済性を含めて一般的に有利と考えられる時期、と説明しています。VCBについては「使用開始後 20 年」としたうえで、「電気的・機械的寿命が優先する」とも書いています。開閉回数の値は「製造者の資料に基づくものとする」とされ、JEMAの数字はありません。

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目安値出典
年数使用開始後20年JEMA DS9201
開閉回数(メーカーの値の例)東芝・富士電機は手動ばね形1,000回・電動ばね形10,000回、日立産機システム(ハイブリッド形)は負荷開閉10,000回各社のカタログ
三菱電機の更新推奨時期高圧遮断器(CB)10,000回・20年(どちらかが先に達した時点)三菱電機の更新推奨時期のページ
保護継電器使用開始後15年JEMA DS9201
JEMA・各社の資料から編集部作成(2026年10月19日確認)。いずれも保証値ではありません。

年数より先に考えたいのが、部品の供給です。三菱電機は生産を終えたVCBの一覧で、機種ごとに生産中止の年と、部品の対応ができる年月・メンテナンスができる年月を公開しています。たとえばVF-8NHBなどは2000年12月に生産中止、部品の対応は2015年12月まで、メンテナンスは2020年12月まで、VF-13NHCなどは2006年8月に生産中止、部品の対応は2021年8月まで、メンテナンスは2026年8月までです。部品やメンテナンスの対応が終わった機種は、壊れたときに直せないことがあります。銘板のメーカーと型式が分かれば、メーカーのページか工事会社で、対応がいつまでかを確かめられます。

後継機があれば、盤を改造せずに替えられることがある

各社は、古いVCBと取り付けの寸法をそろえた更新用の機種を出しています。明電舎は更新用のVR-DRを「遮断器の入れ替えのみで更新可能です。各種寸法を従来機器と同じにしました。」と案内し、東芝は旧VG形と互換のVHA形で「盤改造なしで短時間にて機器の入替」ができるとしています。富士電機は旧形品との取付穴・クレードル取付の互換を確保しつつ、引出形は配電盤の構造によって盤側の改造が要る場合があるとしています。三菱電機の一覧では、VF-13NHCなどの類似品VF-13Dは「互換性あり(本体毎)」、VF-8NHBなどの類似品VF-8Dは「なし(本体又は固定枠毎)」です。

日立産機システムのカタログは、生産から20年を経過した引出式C形VCBについて「交換が必要でありながら後継機種がなく、リニューアルは困難でした」とし、専用の固定枠で互換を取る方法を示しています。後継機があるか、盤の改造が要るかで、工事の範囲と費用が大きく変わります。

VCBの劣化と、点検で見ること

JEMAのDS9201は、真空バルブの劣化を、まわりの環境による「真空漏れ」と、電流の開閉による「電極中のガス放出で真空度低下」に分け、どちらも「耐電圧低下→遮断性能低下」につながるとしています。真空バルブは修理できない部品(非修理系)とされています。

操作の機構にも弱いところがあります。東芝産業機器システムは「真空遮断器は一般的に開閉回数が少ないため、機構部の潤滑が行われにくい傾向があります」とし、投入不良やトリップ不良を生じることがあると案内しています。日立産機システムのカタログも、従来形のばね操作式VCBのトラブルの大半を占めていたのは「定期的な注油の不備による故障」だとしています。

JEMAは、VCBの点検を、日常の巡視、据付後1〜3年の初回点検、3年ごとの普通点検、6年ごとの細密点検と臨時点検に分け、普通点検と細密点検は規定の開閉回数に達したときにも行うとしています。メーカーの点検の項目は次のとおりです(明電舎の例)。

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点検周期(明電舎の例)主な項目
普通点検従来形(電動ばね)3年、VR-D形6年真空インタラプタの清掃、絶縁物の清掃、開閉動作試験、主回路の絶縁抵抗の測定、制御回路の絶縁抵抗の測定
細密点検6年、VR-D形12年接点消耗量の確認、真空度の良否判定、主回路断路部の清掃とグリースアップ、操作機構への注油(VR-D形は不要)、開閉特性の確認
明電舎のカタログ(GB47-3207、2019年6月)とJEMA DS9201から編集部作成(2026年10月19日確認)。周期は機種で違います。

真空度は目では分かりません。富士電機のカタログは、真空チェッカーを「真空バルブの真空の良否を判定するための耐電圧試験器」とし、遮断器を他の回路から切り離して「切」の状態にし、同じ相の主回路の端子の間に電圧をかけて確かめると説明しています。点検報告書に「真空度の判定」の行があるか、結果はどうだったかを見てください。

修理(整備)で済むか、交換か

注油・清掃・調整で直る機構の不具合なら整備で済むことがありますが、真空バルブの劣化や、部品の対応が終わった機種の故障は、交換を考えることになります。

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点検の結果・状況考えられる対応確かめること
投入・引外しの動きが重い、遅い操作機構の注油・清掃・調整(整備)整備のあとの開閉特性の確認と連動試験の結果
真空度の判定が「否」真空バルブ(または本体)の交換部品だけで替えられる機種か、本体ごとか
20年又は規定開閉回数を超えている計画的な交換部品・メンテナンスの対応がいつまでか
部品の対応が終わった機種後継機への交換取付の互換、盤の改造の要否
保護継電器・ほかの機器も古いまとめて交換、またはキュービクル全体の更新停電を1回にまとめられるか、全体更新との比較
JEMA・メーカーの資料から編集部作成。実際の判断は、点検の結果をもとに電気主任技術者とメーカー・工事会社が行います。

修理・部分交換・全体更新の比べ方は修理と更新の判断の記事、機器ごとの年数の一覧はキュービクルの耐用年数の記事で解説しています。

VCBの試験|年次点検と交換のあとに行うもの

VCBは、年次点検で「保護継電器と遮断器の連動動作試験」を受け、交換したあとも、絶縁抵抗・開閉の動作・保護継電器との連動を試験してから使い始めます。

経済産業省の「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」(最終改正 令和7年4月1日)は、電気管理技術者などに保安を外部委託する場合の年次点検を「1年に1回以上行う」とし、その要件のひとつに「保護継電器の動作特性試験及び保護継電器と遮断器の連動動作試験の結果が正常であること」を挙げています(信頼性が高く同等の点検が年1回以上行われている機器は、停電しての点検を3年に1回以上にできる、という但し書きがあります)。

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試験何を確かめるかいつ行うか(例)
絶縁抵抗の測定主回路・制御回路の絶縁が保たれているか年次点検、メーカーの普通点検、交換のあと
保護継電器の動作特性試験決めた電流・時間で保護継電器が動くか年次点検(内規)
保護継電器と遮断器の連動動作試験保護継電器が動いたときにVCBが確実に開くか年次点検(内規)、交換のあと
開閉動作試験・開閉特性の確認投入・引外しが確実か、動きの速さメーカーの普通点検・細密点検、交換のあと
真空度の良否判定真空バルブの真空が保たれているか(耐電圧で確かめる)メーカーの細密点検
接点消耗量の確認接点のすり減りメーカーの細密点検(明電舎の例)
内規4.(7)③、明電舎・富士電機の資料から編集部作成(2026年10月19日確認)。実際の試験の内容は、設備の保安規程と点検の契約で決まります。

経済産業省の審議会の資料(平成26年3月10日、電力安全課)には、CB形の年次点検の例として、過電流継電器の「CT比確認/最小動作電流測定/動作時限整定/200%動作時間測定/CB結合動作試験/最小動作電流引外試験」が並び、遮断器の本体の「VCB:真空度の判定」は精密点検のときだけ、と整理されています。審議の参考の資料で、決まりではありませんが、点検報告書のどの行がVCBのことかを読むときの手がかりになります。

交換とは別に試験だけを頼むときの料金を公開している電気保安の事業者もあります。

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事業者(地域)試験公開されている料金税の表記
貝瀬電気管理事務所(栃木県)保護継電器試験/絶縁耐力試験1台 5,000円/1件 50,000円試験の欄に記載なし
関西エレック(兵庫県)精密点検(保護継電器試験・遮断器精密点検など)/耐圧試験/竣工試験(新設・改修工事完了後の総合試験)30,000円〜/40,000円〜/50,000円〜記載なし
東京総電(東京都)変電設備の耐圧試験(同時に行う各種リレー試験は料金応相談)50,000円より税別
有限会社サイデン(埼玉県)リレー試験・定期検査・竣工検査/耐圧試験50,000円〜/50,000円〜(工事も併せての実施は25,000円〜)記載なし
各社のサイトから編集部作成(2026年10月19日確認)。真空度の試験だけ、VCBの連動試験だけの料金を公開している事業者は見つかりませんでした。

点検報告書の読み方はキュービクル点検報告書の見方の記事、年次点検で指摘を受けたあとの進め方は年次点検の指摘への対応の記事で解説しています。

古い油遮断器(OCB)から替えるとき|低濃度PCBの確認

VCBの前の世代の油遮断器(OCB)が今も付いているなら、交換の前に、絶縁油のPCBの濃度を確かめます。低濃度PCB廃棄物の処分期間は2027年3月31日で終わります。

JEMAのDS9201は「油遮断器,磁気遮断器は,かつて製造されていたが現在は製造されていない。部品の調達,修理及び保守が困難になっているため,早めに真空遮断器等への更新を検討することが望ましい。」としています。

環境省は、低濃度PCBに汚染されている可能性がある電気工作物として、変圧器・電力用コンデンサーなどと並べて「遮断器」を挙げています。環境省・経済産業省の手引き(技術者向け詳細版)には油入遮断器の銘板(昭和41年(1966年)11月製造)の写真が載り、同じ手引きの一般向けの版は「絶縁油入替が可能な変圧器、開閉器、遮断器等について、絶縁油のPCB濃度の測定を行っているか」を確認の項目にしています。環境省は「低濃度PCB廃棄物の処分期間は、PCB特措法において令和9年(2027年)3月31日で終了します」と案内しています。内規も、年次点検で遮断器などが高濃度PCB含有電気工作物に当たるかを確かめることを求めています。

油入遮断器を撤去するときは、銘板の製造年と、PCBの分析をしたかを電気主任技術者に確かめてもらい、分析・収集運搬・処分の費用と、分析の結果が出るまでの期間を見積に分けて出してもらってください。PCBを含んでいた場合は、電気事業法の電気関係報告規則に従って管轄の産業保安監督部に、PCB特措法に従って管轄の自治体に、それぞれ届け出る必要があります(環境省の案内)。PCBの調べ方と期限までの段取りはキュービクルのPCBの記事とPCBの処分期限の記事で解説しています。

VCB交換の停電と、電力会社への申込みが要るとき

受電の主遮断のVCBを替えるときは、施設全体が停電します。受電を止めるのは、VCBより電源側にあるPAS・UGSなどの区分開閉器か、電力会社(地域の送配電会社)の引込開閉器です。

施設の区分開閉器で受電を止められれば、送配電会社の作業は要らないことがあります。東京電力パワーグリッドは、お客さま開閉器を設置している場合は同社の作業は無く無償、関西電力送配電は、お客さまの開閉器(PAS)があれば無償で、同社の引込開閉器での停電を希望する場合は有償としています。送配電会社の作業を頼むときの料金と申込みの期限は次のとおりです。

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送配電会社料金(税込)申込みの期限
東京電力パワーグリッド同社の引込開閉器があれば操作 37,840円、無ければ引込線の切断・接続工事 114,389円希望日の1か月(31日)以上前までに申込む。同社の引込用の開閉器が無い場合は60日以上前まで
関西電力送配電平日昼間(9:00〜17:00)19,630円、夜間・休日(土曜日を含む)48,720円操作の希望日の1か月以上前(申込日から1年以上先は受け付けない)
東京電力パワーグリッド・関西電力送配電の案内から編集部作成(2026年10月19日確認)。ほかの地域は、それぞれの送配電会社の案内を見てください。

東京電力パワーグリッドは、土日・祝日など同社の営業時間外の操作の希望には「ご希望に添えないことがございます」としています。夜間・休日に工事をしたいときは、工事会社と早めに日程を決め、申込みは電気主任技術者か工事会社にしてもらいます。

停電の時間と、止められない設備

停電の時間は、工事会社に開始から復電までの予定を出してもらいます。キーネックスはVCBの交換の停電時間を2〜4時間としています。恒電社の施工事例では、現地調査と電力会社への申請に約2か月かかり、工事のあとに絶縁抵抗測定・導通試験・保護継電器との連動試験をしています。自治大学校の仕様のように、年次点検の停電の日に交換をまとめると、停電の回数を減らせます。

冷蔵・冷凍の設備、サーバー、医療機器、エレベーター、防災の設備など、止められない・止めると困る設備を先に洗い出しておきます。仮設の発電機が要るかは電気主任技術者と決め、手配と接続は工事会社に任せます。つなぎ方を誤ると、停電している設備に電気が戻って作業する人が感電するおそれがあるためです。太陽光発電や非常用発電機がある施設は、停電中の扱いも工事会社と決めておきます。

VCB交換工事の流れ|資料集めから書類の更新まで

VCBの交換は、資料をそろえてから書類を直すまで、7つの段階で進めます。停電の日が決まってからでは選べることが少なくなるので、見積の前の段階から電気主任技術者と相談します。

STEP
資料をそろえる

点検報告書(指摘の内容と試験の結果)、単線結線図、設備台帳、過去の試験成績書と工事の記録を集めます。VCBの銘板(メーカー・型式・製造年・定格電圧・定格電流・定格遮断電流・操作方式・制御電圧・引外しの方式)と、組み合わせている保護継電器の型式・整定値は、電気主任技術者か工事会社に安全な方法で写真に撮ってもらいます。

STEP
現地調査

工事会社が、盤の中でVCBがどう取り付けられているか(固定形か引出形か)、取付の寸法、主回路と制御線の接続、保護継電器との配線、盤の傷みと、新しい機器を運び込む通路を確かめます。図面と現地が合わないこともあるので、現地を見てから範囲を決めます。

STEP
工事の範囲を決める

VCB本体だけを替えるのか、保護継電器・制御の電源と配線・盤の改造まで一緒にするのかを決めます。同じ停電で替えたほうがよい機器(年数が近い断路器・負荷開閉器・変流器(CT)・計器用変圧器(VT)など)があるかも、ここで話し合います。範囲が変わると、金額と停電の時間も変わります。

STEP
見積をそろえて比べる

同じ工事範囲・同じ停電の条件・同じ試験の内容で見積を取り、別途になっている項目(主任技術者の立会い、電力会社の手続き、仮設の発電機、夜間・休日、撤去品の処分など)と、VCBの納期を横に並べます。

STEP
停電の段取りと社内の調整

VCBの納期が決まったら、受電を止める方法と時間を電気主任技術者と決め、地域の送配電会社による開閉器の操作が要るときは期限までに申し込みます。社内・テナント・取引先に停電の日時と範囲を知らせます。仮設の電源が要るかは電気主任技術者と決め、発電機の手配と接続は工事会社に任せます。太陽光発電や非常用発電機がある施設は、停電中の扱いも決めておきます。

STEP
停電・交換・試験・復電

決めた手順で停電・検電・接地などの安全措置をしてから、既設のVCBを撤去し、新しいVCBの取付と主回路・制御線の接続をします。絶縁抵抗の測定、開閉の動作、保護継電器が動いたときに新しいVCBが確実に開くかの連動などの試験をして、電気主任技術者の確認のうえで復電します。

STEP
書類を更新する

新しいVCBの型式・製造年・定格、保護継電器の整定値、試験成績書、工事写真、保証書を受け取り、単線結線図と設備台帳を直します。次の更新の時期を設備台帳に書いておくと、次の計画が立てやすくなります。

VCB交換工事の流れ7ステップ。工事の前に資料集め・現地調査・範囲決め・見積の比較・停電の段取り、停電の日に交換・試験・復電、工事のあとに書類を更新する。
図3 VCB交換工事の流れ(本文のステップから作成)

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VCBが動かないと何が起きるか|波及事故

VCBは、自分より負荷側(構内の奥)で起きた事故を切り離して、電力会社の配電線に広げない(波及事故を防ぐ)役目を持ちます。VCBより電源側の事故は守れないので、PAS・UGSなどの区分開閉器と組で考えます。

NITE(製品評価技術基盤機構)の令和6年度電気保安統計では、自家用電気工作物の波及事故193件のうち、真空遮断器(VCB)が起点になったものが4件(自然劣化2件、作業者の過失1件、鳥獣の接触1件)、PF+Sが5件で、油入遮断器・ガス遮断器は0件でした。VCBの4件のうち2件は、区分開閉器が設置されていなかったために波及事故になっています(第14表から編集部が数えた値)。

東京電力パワーグリッドの配電部の資料(関東東北産業保安監督部の令和6年度セミナー)は、同社がまとめた令和5年度の自家用の波及事故77件のうち73件(95%)が「主遮断装置を含む遮断装置の電源側(主遮断装置の保護範囲外)」に起因していたとしています。同じ資料には、点検のあと、主遮断装置(VCB)の一次側の断路器に付けた短絡接地器具を外さないまま送電して短絡事故になった事例も載っています。交換工事のあとの復電は、電気主任技術者の確認の手順どおりに進めてもらいます。

波及事故の原因と賠償の考え方は波及事故の記事、電源側の区分開閉器の交換はPAS交換費用の記事で解説しています。

VCB交換の見積で確認したい12項目

相見積もりでは、総額の前に、工事範囲・停電の条件・別途の項目をそろえて比べます。下の表を各社に渡して、同じ項目に答えてもらうと比べやすくなります。

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項目確かめること
VCB本体どの回路のVCBか(受電の主遮断か、変圧器などの分岐か)。メーカー・型式、定格電圧・定格電流、定格遮断電流が受電点で流れうる短絡電流を上回るか
固定形か引出形か既設と同じ形か。形を変えるなら盤の改造が入るか
操作方式と引外しの方式手動か電動か。引外しの方式(変流器の電流・制御電源の電圧・コンデンサにためた電気)が既設の保護継電器と合うか。制御の電源と配線の手直しは含むか
取付と盤の改造既設の盤にそのまま付くか。取付金具・導体・端子・扉の加工、断路器とのインターロック、表示・警報の配線の付け直しは含むか
保護継電器一緒に替えるか、既設を使うか。整定値の見直し(電力会社側の保護との協調の確認を含む)は含むか
試験絶縁抵抗・耐電圧・開閉の動作・保護継電器との連動の試験は含むか、成績書は出るか
工事日と停電の時間・範囲VCBの納期と工事日の目安、停電の開始から復電までの予定時間、止まる設備の範囲(受電の主遮断のVCBなら施設全体が止まる)
電力会社の手続き地域の送配電会社による開閉器の操作の申込みが要るか、だれがするか、送配電会社に払う費用があるか
仮設の電源止められない設備のための発電機は含むか、容量と配線。停電している設備に電気が戻らないつなぎ方か
立会いと夜間・休日の割増電気主任技術者の立会いは見積に入るか(保安の委託契約の別料金か)、作業の日時による割増
撤去品の処分撤去したVCBの処分は含むか。油を使う古い遮断器なら、PCBの分析と、含んでいたときの保管・処分の扱いまで含むか
保証と書類保証の期間、単線結線図・設備台帳の修正、工事写真
編集部作成。

見積の内訳の読み方と、高いと感じたときの選択肢はキュービクルの見積チェックの記事で解説しています。

現地調査で写真に残してもらいたい場所

見積を比べるときも、社内で説明するときも、現地の写真があると話が早く進みます。撮影は電気主任技術者か工事会社に、安全な方法で頼んでください。担当者がキュービクルの扉を開けたり、中に手を入れたりする必要はありません。

  • VCBの銘板(メーカー・型式・製造年・定格・操作方式・制御電圧・引外しの方式)
  • VCBが入っている盤の全体と、取付の様子(固定形か引出形かが分かるように)
  • 組み合わせている保護継電器の銘板と、整定値が分かる面
  • 主回路と制御線がVCBにつながる部分と、制御の電源(直流電源装置・コンデンサ引外し装置があればその銘板)
  • 盤の扉・底・換気口の錆、すき間、ほこり、小動物の入った跡
  • 新しい機器を運び込む通路と、盤の前の作業の広さ

VCB交換に関するよくある質問

VCBの交換費用はいくらですか?

工事会社が公開している価格では、1台およそ44万〜100万円です(MECは三菱製439,780円・東芝製462,000円〜・富士電機製528,000円(税込)、キーネックスは概算60〜100万円程。2026年10月19日確認)。官公庁の契約では1台680,000円(埼玉県吉川市)や、11台で1台あたり約213万円(総務省 自治大学校)の例もあります。当サイトの機器別の表(サービス提供元の提供資料、2026年7月時点)では、約120万〜200万円/台を参考レンジにしています。申請・搬入・発電機・試験・盤の加工が別になることがあるので、見積の内訳で確かめてください。

VCBは何年で交換するものですか?

法律で決まった年数はありません。JEMAは高圧交流遮断器の更新推奨時期を「20年又は規定開閉回数」としていますが、製造者の保証値ではありません。開閉回数はメーカーの値で、東芝・富士電機は手動ばね形1,000回・電動ばね形10,000回としています。年数・開閉回数・点検の結果・部品の供給を合わせて判断します。

点検でVCBの交換を勧められました。すぐに替えないといけませんか?

まず指摘の根拠を確かめます。年次点検では保護継電器と遮断器の連動動作試験の結果が正常であることが求められ(経済産業省の内規)、ここで動かなかったのか、年数や部品の供給を理由に計画的な交換を勧められたのかで急ぎ方が変わります。どれくらい急ぐかは電気主任技術者に確かめてください。

VCBだけを替えて、盤はそのまま使えますか?

使えることがあります。明電舎は更新用のVR-DRを「遮断器の入れ替えのみで更新可能」、東芝は旧VG形と互換のVHA形を「盤改造なし」で入れ替えられると案内しています。一方、三菱電機の一覧には互換性が「なし(本体又は固定枠毎)」の機種もあり、富士電機は引出形で盤側の改造が要る場合があるとしています。銘板の型式で確かめてもらってください。

VCBとPF付きLBSは何が違いますか?

東京電力の資料は、PF付きLBSを「PF・S型キュービクルの主開閉器」で高圧限流ヒューズで短絡保護をするもの、VCBを「真空中で電流を遮断(消弧)する装置」と説明しています。VCBは保護継電器の指令で開き、事故のあとも繰り返し使えます。どちらの形かで、交換の費用の考え方が変わります。

保護継電器も一緒に替えたほうがいいですか?

年数と試験の結果で決めます。JEMAの更新推奨時期は保護継電器15年・VCB 20年で、保護継電器のほうが先に来ます。VCBを替えると連動試験はどのみち行うので、保護継電器が古いなら同じ停電で替えると停電を1回にまとめられます。引外しの方式が既設の保護継電器と合うかも確かめます。

古い油遮断器(OCB)が付いています。どうすればいいですか?

JEMAは、油遮断器は現在製造されておらず部品の調達・修理・保守が困難なので、早めに真空遮断器等への更新を検討することが望ましいとしています。環境省は遮断器を低濃度PCBに汚染されている可能性がある電気工作物に挙げ、低濃度PCB廃棄物の処分期間は2027年3月31日で終わります。交換の前に絶縁油のPCBの分析をしたかを確かめてください。

VCBの交換で停電は必要ですか?いつまでに申し込みますか?

必要です。受電の主遮断のVCBなら施設全体が止まります。施設のPASなどで受電を止められれば送配電会社の作業は要らないことがあり、東京電力パワーグリッドと関西電力送配電は、お客さまの開閉器があれば同社の作業は無償としています。送配電会社の開閉器の操作を頼む場合、東京電力パワーグリッドは希望日の31日以上前まで、関西電力送配電は1か月以上前までの申込みが必要です。

無料資料|キュービクル更新費用・機器別相場ガイド

VCB・PAS・UGS・LBS・変圧器・高圧ケーブルなど、機器ごとの交換費用と見積で確かめることを1冊にまとめています。社内の稟議や、相見積もりの前の整理に使えます。

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※資料の価格は一般的な参考情報です。個別の設備の見積額、交換の要否、安全性、工事の方法は、電気主任技術者と工事会社に確かめてください。

まとめ|VCB本体の価格ではなく、工事範囲・試験・停電の条件をそろえて比べる

VCBの交換費用は、工事会社が公開している価格で1台およそ44万〜100万円ですが、総額は工事範囲・試験・停電の条件で変わります。

  • 公開価格はMEC 439,780円〜528,000円(税込、メーカー別)、小谷野電気 45万〜80万円前後(税別、機器代込)、キーネックス 60〜100万円程など
  • 官公庁の契約では1台680,000円、11台で1台あたり約213万円の例がある
  • 申請・搬入、停電中の発電機、試験、盤の加工、夜間・休日の割増が別途になることがある
  • JEMAの更新推奨時期は「20年又は規定開閉回数」、保護継電器は15年。保証値でも法定の期限でもない。部品の対応がいつまでかも確かめる
  • 後継機に取付の互換があれば盤を改造せずに替えられることがあり、無ければ固定枠ごと・盤の改造が加わる
  • 古い油遮断器(OCB)なら、絶縁油のPCBの分析を先に。低濃度PCB廃棄物の処分期間は2027年3月31日まで

VCBの交換をきっかけに、キュービクル全体を直すか更新するかを考え始めたときは、修理と更新の判断の記事が参考になります。容量ごとの全体更新の費用はキュービクル更新費用の記事で解説しています。

VCBを含むキュービクルの更新を、一度に大きな費用を払わずに進めたいときは、4つの質問に答えるだけで所有権移転型の月額の目安を確かめられます。点検報告書や見積がまだ手元に無くても始められます。対象は高圧受電(キュービクル設置)の施設です。低圧・特別高圧での受電と、沖縄・離島は対象外となります。

参考にした情報

本記事は一般的な情報提供を目的としています。金額は各社が公開している価格の例で、個別の設備の見積額を示すものではありません。交換の要否、機種の選定、停電の範囲と手続きは、設備の構成、地域、電力会社との取り決めによって異なるため、電気主任技術者と工事会社に確かめてください。施設の担当者は、キュービクルの扉を開けたり、機器を操作したりしないでください。

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