煙、焦げ臭いにおい、火花、破裂音、異常な振動・うなり、保護装置の動作、浸水、停電後の原因不明状態がある場合は、キュービクルへ近づいたり扉を開けたりせず、電気主任技術者または保安管理会社へ直ちに連絡してください。火災・負傷者がいる場合は119番通報を優先し、自己判断で再投入・復電しないことが重要です。
この記事では、経営者、リスク管理、総務、施設管理担当者に向けて、事故の種類と原因、NITE・経済産業省の事故データ、実際の事故事例、業種別の経営影響、緊急時の初動、事故を防ぐ点検・更新・BCPの整え方を解説します。
※本記事は一般的なリスク整理を目的としています。個別設備の安全性、事故原因、法的責任、損害賠償の有無・金額を判定するものではありません。異常時は電気主任技術者、保安管理会社、一般送配電事業者、消防・行政、保険会社、弁護士等へ状況に応じて確認してください。
キュービクル事故の原因・影響・初動の結論早見表
| 確認項目 | 結論 |
|---|---|
| 主な事故原因 | 経年・環境劣化、保守不完全、点検指摘の未対応、保護機能不備、工事・操作ミス、雷・浸水・鳥獣等 |
| 主な事故種類 | 自社停電、地絡・短絡、感電・アーク、電気火災、機器破損、波及事故 |
| 経営への影響 | 操業・営業停止、商品・仕掛品の損失、緊急復旧費、顧客・テナント対応、第三者損害、信用低下 |
| 異常時の原則 | 近づかない、扉を開けない、触らない、自己判断で再投入しない |
| 最初の連絡先 | 電気主任技術者・保安管理会社。火災・負傷は119番。必要に応じて送配電事業者・行政・保険会社等 |
| 予防の中心 | 点検結果の傾向管理、指摘の期限管理、計画更新、保護協調、工事前協議、緊急連絡網、BCP訓練 |
キュービクル事故は6種類|停電だけでは終わらない
キュービクル事故は、設備の故障そのものと、その故障から生じる人身・火災・停電・第三者影響を分けて考えると整理しやすくなります。一つの事故が複数の被害へ連鎖することもあります。
| 事故・異常 | 起きていること | 主な経営影響 | 初動の要点 |
|---|---|---|---|
| 自社停電 | 地絡・短絡、機器故障、保護装置動作等で受電が停止 | 操業・営業停止、設備再起動、商品・データ損失 | 事故点を確認せず再投入しない。重要負荷のBCPを開始 |
| 波及事故 | 自家用設備の事故が配電線側へ影響し、他の需要家にも供給支障 | 周辺停電、原因調査、対外説明、損害賠償問題 | 電気主任技術者と送配電事業者の指示に従い事故点を切り離す |
| 感電・アーク | 充電部への接触・接近、漏電、アーク熱等で人が死傷 | 人命、労災、工事停止、行政報告、再発防止 | 救助者の二次感電を防ぎ、119番通報。電源操作は専門家が判断 |
| 電気火災 | 短絡・接触不良・過熱・絶縁破壊等から発煙・発火・延焼 | 建物・設備損傷、避難、休業、消防・保険対応 | 119番通報、避難、立入禁止。適切な消火方法は防火計画に従う |
| 機器破損 | PAS、ケーブル、変圧器、LBS、VCB、コンデンサ等が損傷 | 緊急調達、仮設・夜間工事、長期停電、更新費 | 破損範囲と二次損傷を確認し、復電条件を明文化 |
| 漏電・地絡 | 絶縁劣化等で電流が大地や外箱へ流れる | 感電、火災、設備停止、波及事故への発展 | 警報・継電器表示を保存し、事故点の切離しと診断を行う |
経済産業省の統計上の「電気火災事故」や「感電死傷事故」には報告対象となる定義があります。そのため、公表件数は、焦げ跡、軽微な発煙、瞬時停電等を含むすべての異常件数ではありません。統計に現れない小さな兆候も、次の事故を防ぐために記録・是正する必要があります。
キュービクル事故の主な原因|設備・保守・作業・外部要因
事故原因は「古いから」だけでは説明できません。設備そのものの劣化、保守の実施状況、作業手順、保護装置、周辺環境が重なって事故に至ります。製造年が新しくても、施工不良、浸水、誤操作、外傷等があれば事故は起こり得ます。
| 原因群 | 具体例 | 確認する設備・記録 | 予防の中心 |
|---|---|---|---|
| 経年・環境劣化 | 絶縁劣化、水トリー、腐食、パッキン劣化、接点摩耗、油・樹脂劣化 | 高圧ケーブル、PAS・PGS・UGS、変圧器、LBS・VCB、コンデンサ | 年数と点検推移を組み合わせ、計画更新する |
| 保守不完全 | 点検指摘の放置、試験不足、清掃不良、接地・保護装置の不良 | 点検報告書、試験成績、指摘管理表、改修履歴 | 指摘ごとに責任者・期限・完了証跡を決める |
| 保護・区分の不備 | 区分開閉器未設置・不動作、SOG不良、保護協調不備、保護範囲外 | PAS・SOG、UGS、DGR、OCR、VCB、単線結線図 | 継電器・開閉器の連動試験と保護協調確認 |
| 工事・操作ミス | 無断工事、埋設ケーブル損傷、短絡接地器具の外し忘れ、誤投入・強制投入 | 工事計画、埋設図、停復電手順、KY、作業許可 | 電気主任技術者への事前連絡と作業手順の承認 |
| 設計・施工不備 | 端末処理不良、ケーブル損傷、締付不良、選定不適合、換気・防水不足 | 施工写真、竣工試験、仕様書、図面、トルク記録 | 施工品質管理、竣工試験、完成図書の更新 |
| 外部要因 | 雷、風雨、浸水、塩害、粉じん、樹木、鳥獣・蛇、車両・重機接触 | 設置環境、侵入経路、避雷・防水、周辺工事、災害履歴 | 環境対策、侵入防止、工事前調査、災害後点検 |
事故統計では、制度改正や集計対象により自然現象の扱いが異なる場合があります。「統計上の割合が小さいから雷・風雨対策は不要」とは判断せず、自社の立地・設備構成・過去の警報履歴で評価してください。
NITEの事故データ|波及事故はケーブル・PAS・断路器に集中
NITE「電気保安の現状について(令和5年度電気保安統計の概要)」では、令和5年度の需要設備事故250件のうち、波及事故は206件でした。事故発生設備はケーブル115件(55.8%)、PAS31件(15.0%)、断路器16件(7.8%)で、上位3設備が全体の78.6%を占めます。
原因別では、保守不備・自然劣化72件(35.0%)、保守不備・保守不完全55件(26.7%)、故意・過失・作業者の過失26件(12.6%)で、上位3原因が74.3%です。設備更新だけでなく、点検指摘の是正と工事・操作手順まで一体で管理する必要があることが分かります。
| 令和5年度・全国 | 件数 | 構成比 | 管理上の読み方 |
|---|---|---|---|
| ケーブル | 115件 | 55.8% | 高圧引込ケーブルの年数、浸水、端末、診断推移を重点確認 |
| PAS | 31件 | 15.0% | 外観・腐食・浸水、SOGとの連動、更新計画を確認 |
| 断路器 | 16件 | 7.8% | 誤操作防止、操作手順、状態、保護範囲を確認 |
| 自然劣化 | 72件 | 35.0% | 交換推奨時期だけでなく環境・点検結果で判断 |
| 保守不完全 | 55件 | 26.7% | 指摘の未対応、試験・清掃・修繕履歴を是正 |
| 作業者の過失 | 26件 | 12.6% | 無断作業、復電、掘削、開閉操作の承認手順を整備 |
※上表は令和5年度の全国集計における「需要設備の波及事故206件」の内訳です。設備別と原因別は別集計軸のため、同じ表内で合算しません。1件の事故に複数の背景要因がある場合もあります。

2024年度の関東データでも高圧ケーブルとPAS類が約7割
関東東北産業保安監督部等の2026年3月版「波及事故防止のため」では、2024年度の関東地域における波及事故原因設備は、高圧引込ケーブル48%、PAS・PGS・UGS26%で、合計74%です。地域・年度・集計範囲は全国データと異なりますが、受電点付近の設備管理が重要という傾向は共通しています。
同資料の波及事故対応に伴う損失金額は、0~100万円45%、101~300万円26%、301~500万円7%、501万円以上22%です。これは2024年度の関東東北産業保安監督部データであり、すべての事故や全国の損害額を示すものではありません。それでも、500万円を超える回答が一定数ある点は、設備費だけでなく営業損失・賠償費用を含めたBCPが必要であることを示します。
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NITEの実事故事例|原因と再発防止をセットで見る
NITE「令和6年度電気事故事例集」には、実際に報告された事故と再発防止策が掲載されています。以下は事故規模の平均や典型を示すものではなく、自社の弱点を点検するための事例です。
| 事例 | 事故の経過 | 公表された影響 | 自社へ置き換える確認点 |
|---|---|---|---|
| PGS内部短絡 | 1997年製PGSが内部短絡。交換推奨時期を超過し、状態が良くないまま使用 | 供給支障250kW、1時間48分、98軒 | PAS・PGSの製造年、外観、点検結果、更新期限 |
| PASへの水分浸入 | ケースパッキンの経年劣化で気密性が低下し、内部浸水から絶縁破壊 | 供給支障1時間3分 | 錆、碍子、パッキン、浸水兆候、SOG・トリップ回路 |
| 掘削でケーブル損傷 | 事前連絡・埋設物調査が不十分。重機が高圧ケーブルとSOG制御電源を同時に損傷し、PASが開放せず | 供給支障1,621kW、1時間25分 | 埋設図、工事許可、主任技術者への連絡、試掘・立会い |
| 原因未除去で再投入 | 落雷で高圧ケーブルが損傷。1,000V絶縁抵抗測定で異常を十分に把握できないままPASを再投入 | 供給支障45分、41軒 | 停電原因不明時の試験、復電判定者、再投入禁止条件 |
事故による経営損失|業種ごとに止められない機能が違う
事故対応費は、壊れた機器の交換費だけではありません。停電時間、停止する工程、廃棄・再検査、従業員待機、顧客対応、仮設電源、夜間工事、第三者影響を含めて試算します。
| 業種・施設 | 止まる可能性がある機能 | 主な二次損失 | 事前に決めること |
|---|---|---|---|
| 製造業 | 生産ライン、炉、圧縮機、検査、集じん、制御 | 仕掛品廃棄、再立上げ、品質確認、納期遅延 | 安全停止手順、再起動順序、重要ラインの電源 |
| 食品・冷蔵倉庫 | 冷凍・冷蔵、衛生、包装、在庫管理 | 温度逸脱、商品廃棄、検査、出荷停止 | 温度維持時間、発電機接続、代替保管先 |
| 病院・介護施設 | 医療機器、ナースコール、空調、給排水、電子記録 | 患者・入居者安全、診療制限、搬送・代替対応 | 非常電源対象、燃料、切替時間、手動対応 |
| 店舗・ホテル・ビル | POS、照明、空調、エレベーター、給水、防災 | 休業、避難、テナント対応、予約・売上損失 | 館内放送、避難、閉じ込め対応、復旧連絡 |
| オフィス・IT | サーバー、ネットワーク、電話、入退室、決済 | データ・取引停止、在宅切替、顧客対応 | UPS保持時間、停止手順、RTO・RPO、代替拠点 |
| 物流施設 | 搬送、仕分け、シャッター、冷蔵、倉庫管理 | 出荷遅延、滞留、再配車、誤出荷 | 手作業切替、車両動線、荷主・運送会社連絡 |

停止損失は「売上」ではなく影響項目を分解して試算
簡易試算では、次の項目を分けます。売上高だけで損失を決めると、振替生産、後日売上、変動費、廃棄、再検査、第三者対応等を正しく反映できません。
- 緊急調査、仮設、夜間休日、機器・工事、試験等の直接復旧費
- 停止時間中の限界利益・稼働損失と、納期遅延・キャンセル
- 仕掛品・原材料・冷蔵品の廃棄、再加工、再検査、再起動費
- 従業員待機、残業、代替拠点、輸送・外注、顧客対応の追加費
- 近隣・テナント・取引先等の第三者損害と、保険・法務対応
- 信用低下、契約上のペナルティ、再発防止・監査対応
金額を決める際は、設備担当だけでなく、経営、製造・店舗運営、情報システム、財務、法務、保険担当が参加するBIA(事業影響度分析)として整理すると、更新予算とBCPの優先順位を説明しやすくなります。
危険サインと対応優先度|年数だけで判断しない
対応優先度は、製造年だけでなく、人身・火災・波及事故の可能性、保護機能、劣化の進行、停止時の影響、部品納期、次の計画停電機会を組み合わせて決めます。
| 優先度 | 主な状態・兆候 | 基本対応 |
|---|---|---|
| 緊急 | 煙、火花、破裂音、焦げ臭、焼損、著しい発熱、浸水、感電、保護装置動作、原因不明の停電 | 立入禁止。119番・電気主任技術者等へ連絡し、自己判断で復電しない |
| 早期 | 絶縁・継電器試験の異常、放電痕、腐食・漏油・膨らみ、異音、繰返し警報、数値の悪化傾向 | 追加診断、使用条件、仮対策、交換期限、見積、停電日を確定 |
| 計画 | 更新推奨時期への到達、部品供給終了、複数機器の劣化、停電機会が限定、重要負荷が多い | 複数年計画と予算を組み、事故前の計画停電で更新 |
| 継続監視 | 直ちに異常判定ではないが、年数・環境・軽微所見・測定変動がある | 次回点検時期、測定条件、悪化時の連絡基準を記録 |
点検報告書の読み方は、「キュービクル点検報告書の見方」、機器ごとの更新時期は、「キュービクルの耐用年数と更新時期」もあわせてご確認ください。
事故・停電が起きたときの緊急連絡フロー
緊急時は、復電を急ぐほど事故点の未除去や誤操作を招くことがあります。人命確保、立入禁止、専門家への連絡、原因・安全確認、復電判定の順序を守ります。

火災・煙・負傷・感電のおそれがある場合は119番通報し、避難・立入禁止を行います。救助者が充電部へ近づき二次感電しないようにします。
キュービクル、PAS、ケーブル、倒木・水たまり、切れた電線へ近づきません。停止したブレーカやPASを自己判断で操作しません。
発生時刻、場所、におい・音・煙、停電範囲、警報表示、工事・雷・浸水の有無を安全な場所から伝えます。必要に応じて一般送配電事業者へ連携します。
非常用電源、設備の安全停止、患者・利用者対応、冷蔵品、サーバー、テナント、顧客・取引先への連絡を、あらかじめ決めた優先順位で実行します。
専門家が単線結線図、継電器表示、試験、外観、事故前後の記録から事故点を特定し、切離し、仮復旧、全面復旧の条件を判断します。
報告対象に該当するか管轄の産業保安監督部へ確認し、必要な速報・詳報を行います。写真、警報、測定値、工事・点検記録、時系列、損害資料を保存し、保険会社にも早期連絡します。
事故点の除去、試験、保護装置、相順、負荷、関連設備の再起動を確認して復電します。暫定対策で終わらせず、原因分析と恒久対策、図面・台帳・手順の更新まで完了します。
事故報告は24時間以内の速報・30日以内の詳報が基本
関東東北産業保安監督部の事故報告案内では、報告対象事故について、事故を知った時から24時間以内の速報と、30日以内の詳報が示されています。感電死傷、一定の電気火災、主要電気工作物の破損、波及事故等が主な対象ですが、該当判断や提出先は事故内容・地域で確認が必要です。
キュービクル事故を防ぐ10の対策
| 対策 | 実施内容 | 確認する証跡 |
|---|---|---|
| 1. 点検の実施 | 月次・年次点検、必要な測定・試験を設備と保安規程に合わせて実施 | 点検報告書、試験成績、写真 |
| 2. 指摘の期限管理 | 緊急・早期・計画・監視へ分類し、責任者と期限を設定 | 指摘台帳、見積、発注・完了記録 |
| 3. 経年設備の更新 | 高圧ケーブル、PAS・SOG、変圧器、LBS・VCB等を複数年で更新 | 製造年一覧、更新計画、予算 |
| 4. 保護機能の確認 | 区分開閉器、継電器、遮断器の保護範囲・協調・連動を試験 | 単線結線図、整定値、連動試験 |
| 5. 環境対策 | 浸水、防錆、換気、粉じん、塩害、鳥獣・蛇、樹木を管理 | 巡視写真、補修履歴、災害後点検 |
| 6. 工事前協議 | 掘削、足場、解体、屋上、樹木、搬入等を主任技術者へ事前連絡 | 作業許可、埋設図、KY、立会記録 |
| 7. 停復電手順 | 停止、検電、接地、施錠表示、試験、復電判定者を明確化 | 手順書、チェックリスト、操作記録 |
| 8. 図面・台帳 | 単線結線図、配置・経路図、責任分界、機器台帳を現状一致させる | 改訂日、工事反映、保管場所 |
| 9. BCP・非常電源 | 重要負荷、切替時間、燃料、UPS、手動代替、連絡網を整備 | 負荷表、試運転、訓練記録 |
| 10. 保険・契約確認 | 財物、休業、賠償、仮設、原因調査等の補償と免責を確認 | 保険証券、約款、保守・工事契約 |
機器の役割と更新目安は、「キュービクルの構成機器一覧」、高圧ケーブルの費用・劣化は、「高圧ケーブル交換費用」、PAS・SOGは、「PAS交換費用・交換時期」で詳しく解説しています。
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BCPで決めるべき項目|復旧時間だけでなく安全停止も設計
非常用発電機があっても、全設備を通常どおり動かせるとは限りません。重要負荷の優先順位、発電機容量、始動・切替時間、燃料、連続運転時間、給油、安全停止、復旧後の再起動順序を具体化します。
| BCP項目 | 決める内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 重要業務 | 生命安全、法令、防災、品質、顧客、売上への影響順 | BIA、部門ヒアリング、停止損失試算 |
| RTO・RPO | 目標復旧時間と許容できるデータ損失 | 業務・システム単位で設定 |
| 重要負荷 | 非常電源へ接続する設備と起動順序 | 負荷表、単線結線図、実負荷試験 |
| 代替手段 | 手作業、代替拠点、外注、在宅、他店・他工場への振替 | 机上訓練、実地訓練、契約確認 |
| 連絡 | 社内、保安、送配電、消防、顧客、テナント、保険、行政 | 連絡網、代替通信、定期更新 |
| 復旧判断 | 誰が安全確認し、誰が事業再開を承認するか | 役割表、チェックリスト、記録様式 |
停電・事故訓練では、「電気担当者が不在」「携帯電話がつながらない」「夜間・休日」「非常用発電機が始動しない」「一部だけ復電できる」といった条件を入れると、連絡網と判断手順の弱点が見つかります。
自社の事故リスクを確認するチェックリスト
次のうち一つでも「不明」がある場合は、危険と断定するのではなく、電気主任技術者・保安管理会社と事実確認から始めます。
- キュービクル、PAS、高圧ケーブル、変圧器等の製造年が一覧化されている
- 点検指摘ごとに緊急度、期限、責任者、完了証跡がある
- 測定値を前回・前年と同じ条件で比較できる
- 高圧引込ケーブルの経路、端末、浸水箇所が分かる
- PAS・SOG・UGSの保護範囲と連動試験結果が分かる
- 単線結線図、配置図、埋設図が現状と一致している
- 掘削・足場・解体・樹木作業を主任技術者へ事前連絡する手順がある
- 停電後に再投入してよい条件と、判断者が決まっている
- 雷、浸水、塩害、粉じん、鳥獣等の設置環境リスクを点検している
- 焦げ臭、異音、警報、発熱、腐食、漏油等の連絡基準がある
- 緊急連絡先が夜間・休日を含めて更新されている
- 非常用発電機・UPSの対象負荷、保持時間、燃料が分かる
- 停電時の安全停止・再起動手順が設備ごとにある
- 顧客、テナント、近隣、取引先への連絡責任者が決まっている
- 財物、休業、賠償、仮設工事等の保険範囲を確認している
- 事故・ヒヤリハット後に原因と再発防止を記録する仕組みがある
キュービクル全体の点検方法は、「キュービクル点検ガイド」、年次点検の指摘対応は、「年次点検で指摘を受けたときの対応」をご覧ください。
キュービクル事故に関するよくある質問
- キュービクル事故の主な原因は何ですか?
-
高圧ケーブルやPAS等の経年・環境劣化、保守不完全、保護装置・区分開閉器の不備、工事・操作ミス、施工不良、雷・浸水・鳥獣等です。複数要因が重なることもあります。
- 波及事故とは何ですか?
-
自家用電気工作物の破損・誤操作等が一般送配電事業者等の設備へ影響し、他の需要家に供給支障を発生させる事故です。自社の復旧費だけでなく、周辺停電への対応が必要になる可能性があります。
- 停電したらブレーカやPASを再投入してよいですか?
-
自己判断で再投入しないでください。事故点が残ったまま再投入すると、設備破損や波及事故を拡大する可能性があります。電気主任技術者・保安管理会社が原因、試験、保護状態を確認して判断します。
- キュービクルから焦げ臭いにおいがするときはどうしますか?
-
近づかず、扉を開けず、触らず、電気主任技術者・保安管理会社へ直ちに連絡してください。煙・火災がある場合は119番通報と避難を優先します。
- 古いキュービクルは必ず事故を起こしますか?
-
必ず事故を起こすとは限りません。ただし、経年とともに絶縁・機械・防水・部品供給等のリスクが高まるため、製造年、環境、点検結果、部品供給、事故影響を組み合わせて更新計画を立てます。
- 年次点検をしていれば事故は防げますか?
-
点検は重要ですが、実施だけで事故をゼロにはできません。指摘の是正、測定値の傾向管理、計画更新、保護連動、工事前連絡、停復電手順、BCPまで実行する必要があります。
- 波及事故が起きたら必ず損害賠償責任を負いますか?
-
一律には決まりません。原因、過失、保守・工事の状況、契約、損害との因果関係、保険等で判断が変わります。事故直後から記録を保全し、保険会社・弁護士等へ確認してください。
- 電気事故は行政へ報告が必要ですか?
-
感電死傷、一定の電気火災、主要電気工作物の破損、波及事故等は報告対象となる場合があります。報告対象は事故内容で異なるため、電気主任技術者と管轄の産業保安監督部へ早期に確認してください。
- 非常用発電機があれば停電対策は十分ですか?
-
十分とは限りません。発電機容量、接続負荷、始動・切替時間、燃料、連続運転、保守、実負荷試験、手動代替、再起動順序まで確認する必要があります。
- 事故リスクの調査はどこから始めればよいですか?
-
最新の点検報告書、単線結線図、機器台帳、製造年、指摘・改修履歴、停電・警報履歴をそろえ、電気主任技術者・保安管理会社と「緊急・早期・計画・監視」に分類するところから始めます。
無料資料|設置20年超のキュービクル危険度チェック
製造年、点検指摘、腐食・浸水、保護装置、高圧ケーブル、更新履歴、停電時の影響を整理し、優先して確認すべき項目を洗い出すための無料チェック資料です。
まとめ|点検・更新・初動・BCPを一つの事故対策にする
キュービクル事故は、設備劣化だけでなく、保守、保護装置、工事、操作、復電判断、設置環境が重なって起こります。点検を受けるだけではなく、指摘を期限内に是正し、経年設備を計画更新し、工事前協議と停復電手順を徹底することが基本です。
- 全国の令和5年度需要設備では、事故250件のうち波及事故が206件
- 波及事故の設備上位はケーブル55.8%、PAS15.0%、断路器7.8%
- 原因上位は自然劣化35.0%、保守不完全26.7%、作業者過失12.6%
- 異常時は近づかず、開けず、触らず、自己判断で再投入しない
- 損失は設備費だけでなく、停止、廃棄、再起動、顧客・第三者対応まで試算する
- 点検・更新・保護協調・工事管理・緊急連絡・BCPを一体で整える
現在の設備状態、点検指摘、更新時期、停電時の影響を整理したい場合は、図面・点検報告書・機器銘板写真を用意すると相談が進みやすくなります。
参考資料・一次情報
- NITE「電気保安統計」
- NITE「電気保安の現状について(令和5年度電気保安統計の概要)」
- NITE「令和6年度電気事故事例集」
- NITE「詳報公表システム」
- 経済産業省「電気保安統計」
- 関東東北産業保安監督部等「波及事故防止のため」(2026年3月版)
- 関東東北産業保安監督部「電気事故報告について」
最終確認日:2026年8月10日。法令・制度、報告様式、事故統計、公開資料は更新される場合があります。公開前および事故発生時は、経済産業省・管轄産業保安監督部等の最新情報をご確認ください。


