LBS交換費用の目安|高圧負荷開閉器の役割・交換時期・注意点

キュービクルの盤の中に3本の高圧限流ヒューズと負荷開閉器(LBS)が並ぶ様子

LBS(高圧交流負荷開閉器)は、ふだん流れている負荷の電流を開け閉めする高圧の開閉器で、短絡(ショート)の保護は、組み合わせた高圧限流ヒューズ(PF)が受け持ちます。交換費用は、工事会社が公開している価格の例では、最低価格(「〜」の価格)が18万〜26.4万円、幅で示している会社が約25〜35万円と40〜80万円程度です。株式会社MECは三菱製231,000円〜・富士電機製264,000円〜(いずれも税込、ヒューズ30A×3本と絶縁バリヤ付き)、株式会社キーネックスはPF(限流ヒューズ)も同時に替えて概算25〜35万円としています。

総額は、どの回路のLBSか、定格と取付の形、限流ヒューズを一緒に替えるか、盤の改造、停電と仮設の電源、交換後の試験で変わります。JEMA(日本電機工業会)の更新推奨時期は、屋内用のLBSが「15年又は定格負荷電流開閉回数200回」、屋内用の高圧限流ヒューズが15年です。見積を比べる前に、点検報告書・単線結線図と、LBSとヒューズの銘板の写真をそろえ、同じ工事範囲で見積を取り直してください。

本記事は、年次点検などでLBSや限流ヒューズの交換を勧められた施設の経営者・総務・施設管理の担当の方に向けて、LBSの交換費用の内訳と、交換時期・停電・試験の段取りを、メーカー・業界団体・送配電会社・国の資料をもとに整理したものです。LBSは、受電の主開閉器として使われる場合と、変圧器・進相コンデンサの開閉器として使われる場合があり、どちらかで停電の範囲が変わります。盤の中の機器の並びはキュービクルの構成機器一覧で確かめられます。

※この記事で紹介した価格・規格・各社と送配電会社の案内は、2026年10月19日〜23日に確かめた時点のものです。

項目目安(根拠)
交換費用(公開価格の例)最低価格は18万〜26.4万円、幅で示している会社は約25〜35万円と40〜80万円程度(工事会社5社。税込と税の記載なしが混ざる)
部品の価格の例LBS本体 約5.5万〜9.5万円、限流ヒューズ 1本 約1万〜1.6万円(モノタロウの税込の販売価格)
別途になることがあるもの申請・搬入の費用(MECの料金体系の案内)。MECはUGS・VCBのキャンペーン価格に、主任技術者の立会費と、耐圧試験・動作試験が要る場合を別途と注記。ほかの4社は記載なし
交換時期の目安LBSは屋内用15年又は定格負荷電流開閉回数200回(屋外用10年)、限流ヒューズは屋内用15年(屋外用10年)。JEMAの更新推奨時期で、保証値でも法定の期限でもない
停電受電の主開閉器(PF・S形)なら施設全体が止まる。変圧器などの開閉器でも、受電を止めて作業することがある(止める範囲は単線結線図を見て電気主任技術者が決める。編集部の整理)
ヒューズが切れたとき溶断していない相も含めて3本とも新しいものに替える(JEMAの調査報告書)

編集部作成。金額は工事会社が公開している価格の例で、相場や上限・下限ではありません。

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キュービクルの高額修繕を払う前に

目次

LBSとは?負荷の電流を開け閉めし、短絡はヒューズで切る開閉器

LBS(Load Break Switch、高圧交流負荷開閉器)は、ふだん流れている負荷の電流を開け閉めできる開閉器です。保護継電器の指令で事故の電流を遮断する遮断器(VCB)とは役割が違い、受電設備では、短絡の保護を受け持つ高圧限流ヒューズ(PF)と組み合わせた「PF付きLBS」として使われることが多くあります。

三菱電機は負荷開閉器を「負荷電流の開閉性能と断路性能、さらに短絡事故状態での投入性能を有する機器です。ヒューズとの組合せで短絡保護も可能となり」と説明しています。エナジーサポートのカタログも、限流ヒューズ付負荷開閉器を「負荷開閉と高圧側の短絡事故保護を目的としています」としています。JEMAは、高圧交流負荷開閉器・引外し形・限流ヒューズ付をまとめて扱い、規格に JIS C 4605・4607・4611 を挙げています。

PF・S形の主開閉器と、変圧器・コンデンサの開閉器

受電の主遮断装置にPF付きLBSを使う受電設備はPF・S形と呼ばれます。エナジーサポートのカタログは、JIS C 4620(キュービクル式高圧受電設備)のPF・S形用の遮断装置を「受電容量300kVA 以下」と書き、富士電機の技報(2013年)も「受電容量300 kVA 以下のPF・S 形高圧受電設備に用いられる主遮断装置のほとんどにLBS が採用されている」としています。主遮断装置にVCBなどの遮断器を使う設備はCB形と呼ばれます。東京電力の資料は、PF付きLBSを「PF・S型キュービクルの主開閉器や大容量の変圧器・コンデンサの一次開閉器に使用」と説明し、富士電機も「高圧受電設備の主遮断装置、変圧器やコンデンサ等の保護用開閉器として最適です」としています。小容量の変圧器の保護には、高圧カットアウト(PCS)が多く使われている、と東京電力の資料にあります。

同じLBSでも、受電の主開閉器を替えるのか、変圧器などの開閉器を替えるのかで、止まる範囲と工事の段取りが変わります。見積の前に、どの回路のLBSを替えるのかを、単線結線図で電気主任技術者に示してもらいます。

ヒューズが切れたら、三相とも開いて欠相を防ぐ

三相のうち1本のヒューズだけが溶断すると、残りの2相に電気が流れ続ける「欠相」になります。三菱電機は、ストライカ引外し式の負荷開閉器について「ヒューズは三相のうち一本でも動作すると、負荷開閉器は遮断動作を開始します。このようにストライカ引外し式ではヒューズ動作による欠相の保護も同時に達成いたしました」と説明しています。富士電機の技報も、ヒューズが溶断すると飛び出す溶断表示棒の力で負荷開閉器を開く方式を紹介しています。東京電力の資料も、限流ヒューズが溶断した場合でも三相が同時に開放され、欠相運転を防止すると説明しています。交換の見積では、既設と同じくストライカで引き外す機種かを確かめます。

LBSとVCB・PAS・DSの違い

LBSと名前の似た機器は、切れる電流と付いている場所が違います。点検報告書でどの機器の指摘かを読むときの目安にしてください。

機器切れる電流主な場所
LBS(高圧交流負荷開閉器)負荷の電流を開閉できる。短絡の保護は組み合わせた限流ヒューズで行うPF・S形の受電の主開閉器、容量の大きい変圧器・コンデンサの一次側の開閉器
VCB(真空遮断器)保護継電器の指令で、短絡などの事故の電流も遮断するCB形の受電の主遮断装置、大きな回路の分岐
PAS(高圧気中負荷開閉器)負荷の電流を開閉する。SOG動作(過電流・地絡動作)の機能で、構内の地絡事故などから波及事故を防ぐ電柱の上の、電力会社との責任分界点(地中の引込はUGS)
DS(断路器)短絡電流も負荷電流も切れない。ほかの開閉器・遮断器で電流を切ってから開き、点検のときに回路を切り離す受電の入口など

東京電力「高圧受電設備について」、JEMAの調査報告書から編集部作成。

電柱の上の区分開閉器の交換はPAS交換費用の記事、構成機器の全体像はキュービクルの構成機器一覧で解説しています。

LBS交換費用の目安|公開されている工事価格の例

工事会社が公開しているLBSの交換の価格は、最低価格(「〜」の価格)で18万〜26.4万円、幅で示している会社で約25〜35万円と40〜80万円程度です。多くは最低価格だけで上限は書かれておらず、台数の記載も無く、税の表記が無い会社もあります。今回載せた5社は関東・中部が中心で、北海道の会社は実績からの目安として幅で示しています。

会社(地域)公開されている価格(税の表記)含むもの・条件
株式会社MEC(神奈川県・関東)三菱製 231,000円〜、富士電機製 264,000円〜(税込)。LBSと断路器の交換のセットで総額330,000円(税込)の例ヒューズ30A×3本、絶縁バリヤ4枚付き。ほかに申請費用・搬入費用などがかかる
株式会社丸仁「キュービクル必殺工事人」(千葉県・首都圏)LBS交換改修工事 18万円〜(税の記載なし)「あくまで参考価格」で、現地の状況・内容で変わる
有限会社サイデン(埼玉県)LBS交換 20万円〜(税の記載なし)ヒューズ付。施工状況・メーカー・仕様で上下する
株式会社キーネックス(愛知県・名古屋市と近郊)概算工事費用 約25〜35万円(税の記載なし)LBSの交換ではPF(パワーヒューズ)も同時に交換
株式会社セイトー電設(北海道)LBS交換 40〜80万円程度(税込・概算)北海道全域の実績からの価格帯の目安

各社のサイトから編集部作成。金額は公開されている価格の例で、相場や上限・下限ではありません。

MECは料金表の「料金体系」で、表の工事のほかに申請費用や搬入費用などがかかるとし、キャンペーンの欄では主任技術者の立会費と、耐圧試験・動作試験が要る場合を別途としています。MEC以外の4社は、立会い・試験・申請の扱いを書いていません(含まれないという意味ではありません)。見積を比べるときは、停電の立会いと試験が含まれているかを先に確かめてください。

部品の価格|本体とヒューズは総額の一部

工事費のうち、LBS本体と限流ヒューズの部品の価格は、販売サイトで公開されています。モノタロウでは、富士電機のストライカ引外し式の負荷開閉器 LBS-6A/200(200A)が54,978円、電圧引外し装置付きの LBS-6A/200F が73,678円、三菱電機の負荷開閉器 SCL-GHS1R-NNN(7.2kV・200A)が94,578円です(いずれも税込の販売価格)。限流ヒューズは本体の形式に合うものを使います。富士電機は、LBS-6A に JC-6/□R 形のヒューズは使えないとしています。工事会社の公開価格との差は、取付・試験・立会い・諸経費などの分と考えられます。

部品例(メーカー・型式)販売価格(税込)
LBS本体富士電機 LBS-6A/200(200A)54,978円
LBS本体(電圧引外し装置付き)富士電機 LBS-6A/200F(200A)73,678円
LBS本体三菱電機 SCL-GHS1R-NNN(7.2kV・200A)94,578円
限流ヒューズ 1本富士電機 JC-6/20(20A)・JC-6/30(30A)10,998円・16,478円(JC-6/30は取扱停止中)
限流ヒューズ 1本三菱電機 CL-LB LINK 7.2KV G20・G309,568円・15,378円
限流ヒューズ 3本MEC 一般用 G20A×3本・G30A×3本14,025円・19,635円(交換費は含まない)

モノタロウの商品ページとMECの料金表から編集部作成。部品の価格で、取付・試験・立会いの費用は入っていません。

LBS交換の見積の内訳

LBSの見積は、本体の価格よりも、本体以外の項目が入っているかで総額が変わります。次の表で、見積の行がどこまでを含んでいるかを確かめてください。

項目中身確かめたいこと
LBS本体メーカー・型式・定格電流・操作方式(手動か電動か)・ストライカの有無既設と同じ定格・同じ取付の形か
限流ヒューズ3本1組。定格電流は変圧器などの容量に合わせて選ぶ本体の価格に含むか、別の行か。予備の3本も頼むか
取付・盤の改造取付金具・導体・端子・操作ハンドルの位置の手直し後継機の取付寸法が既設と同じか
試験・調整絶縁抵抗・耐電圧・開閉の動作・ストライカの引外しの確認試験成績書が出るか
主任技術者の立会い停電・復電の操作と、工事のあとの確認見積に入るか、保安の委託契約の別料金か
電力会社の手続き受電を止める方法によっては、送配電会社の開閉器の操作の申込みと費用だれが申し込むか、送配電会社に払う費用があるか
仮設の電源止められない設備のための発電機要るか、容量と接続の方法
夜間・休日の割増作業の日時による割増平日の昼に工事できるか
撤去・処分・諸経費撤去品の処分、搬入・運搬、交通費油入の開閉器ならPCBの分析と処分の扱いまで含むか

編集部作成。項目の名前と分け方は工事会社で違います。

LBS交換の工事込みの公開価格と部品の価格を、0〜80万円の目盛りの棒で比べた図。部品だけはLBS本体が約5.5万〜9.5万円、限流ヒューズ1本が約1万〜1.6万円、工事込みは最低価格18万〜26.4万円、幅で示している会社が約25万〜35万円と40万〜80万円程度
図1 LBS交換の工事込みの価格と部品の価格(棒の長さは金額。本文の表から作成)

LBS交換費用が変わる7つの条件

同じ「LBS 1台」の交換でも、次の条件で総額が変わります。見積を比べるときは、この7つをそろえてから金額を見ます。

条件費用が上がりやすいとき
どの回路のLBSか受電の主開閉器(施設全体の停電・電力会社との段取りが要る)
定格と機種定格電流が大きい、電動操作、地絡継電装置などの付属がある
限流ヒューズ本体と一緒に3本とも替える、予備も用意する
取付の互換後継機の取付寸法が既設と違い、盤の改造や部材の作り直しが要る
停電の時間と日時夜間・休日の作業、止められない設備のための仮設の電源
一緒に替える機器VCB・変圧器・高圧ケーブルなども同じ停電で替える(総額は上がるが、停電の回数は減る)
古い機器の処分油入の開閉器で、絶縁油のPCBの分析や処分が要る

編集部作成。

LBSの交換時期|JEMAの更新推奨時期は屋内用15年又は開閉200回

LBSの交換時期の目安は、JEMAの更新推奨時期で、屋内用が「使用開始後15年、又は定格負荷電流開閉回数200回」、屋外用が「使用開始後10年、又は定格負荷電流開閉回数200回」です。地絡継電装置付き(GR付)の開閉器の制御装置は10年です。

JEMAの調査報告書(改訂版、2023年3月)は、更新推奨時期を「機能や性能に対する製造者の保証値ではなく、通常の環境の下で、通常の保守・点検を行って使用した場合に、機器構成材の老朽化などにより、新品と交換した方が経済性を含めて一般的に有利と考えられる時期」と説明しています。法律で交換の年数が決まっているわけではありませんが、湿気・ほこり・塩分の多い場所では劣化が早く進むので、年数だけでなく点検の結果と合わせて判断します。

JEMAの更新推奨時期を年数の棒で比べた図。LBSは屋内用15年・屋外用10年(又は定格負荷電流の開閉200回)、GR付開閉器の制御装置は10年、限流ヒューズは屋内用15年・屋外用10年で、使っていない予備も保管の期間を含めて数える
図2 LBSと限流ヒューズの更新推奨時期(棒の長さは年数。JEMAの報告書から作成)

限流ヒューズは屋内用15年。1本切れたら3本とも替える

JEMAは、高圧限流ヒューズの更新推奨時期を屋内用で使用開始後15年、屋外用で10年としています。劣化の診断には抵抗の測定やX線の調査などがありますが、壊して調べる項目が多く、調査費用がかかる割に劣化の有無の判定が付きにくいため、使い始めてから一定の年数で替えるのがよい、という考え方です。使っていない予備のヒューズも劣化するので、保管期間を含めて年数に近づいたものは替えることが望ましい、とも書いています。

ヒューズが溶断したときは、溶断していない相のヒューズも劣化している可能性があるため、JEMAは「必ず各相とも、新しいヒューズリンクに取り換える必要がある」としています。エナジーサポートのカタログも各相とも新しいものに取り換えるよう書き、三菱電機のヒューズのカタログは「3本または2本1組全部を取替えることを推奨します」としています。予備は三相回路用なら3本を1組で用意しておきます。ヒューズの交換は、電源側の開閉器を開いて電気が来ていない状態で行う作業なので、施設の人が自分で替えず、電気主任技術者に任せます。

LBSはどこから傷むか

JEMAの調査報告書は、気中のLBSの劣化を次のように説明しています。主回路の接触部は空気中の水分・酸素・ほこりで表面が酸化して接触抵抗が増え、通電の発熱が大きくなります。電流を切るときのアークで消弧室が消耗し、炭化して絶縁が下がることもあります。樹脂のがいしや絶縁ロッドは、温度や雰囲気で「枯れ」が起き、ほこりや塩分が付くとトラッキング(表面を電気が伝う劣化)が進むことがあります。

部位期待寿命(JEMA)主な劣化
アークシュート・主回路の接触部(気中)15年吸湿による絶縁抵抗の低下、開閉による接点の摩耗、アークシュートの消耗
ブッシング・絶縁支持物15年汚損による絶縁の低下
操作コイル15年ヒートサイクル、電磁力
補助スイッチ(制御装置)10〜15年接触不良、接点の摩耗
パッキング(屋外の閉鎖形)10〜15年経年、永久変形
外箱(屋外の閉鎖形)10年腐食

JEMA『汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査』報告書(改訂版、2023年3月)の表から抜き出して編集部作成。機種で違います。

部品の供給と後継機

LBSは、メーカーごとに今の機種と、古い機種からの取り替えの案内があります。富士電機のLBS-6A/200は、定格電圧7.2/3.6kV・定格電流200Aで、仕様の表に負荷電流の開閉は200回、機械的開閉寿命は1,000回とあります。旧形のLBS-6とは「寸法互換性はありません」が、ベースアダプタ(形式LBS-AD1)を使えば取り付けられるとしています。ただし「主回路端子位置と補助回路端子位置は異なります」として、配線の引き回しを変えるなどして接続するよう書いています。三菱電機は「取付けは従来品と寸法互換があり、更新時の盤側改造工事が不要です」とし、「一部寸法互換の無い製品があります」とも書いています。エナジーサポートのPFS-201M-A は7.2kV・200A、電気的200回・機械的1,000回で、同社は別売りのLBS用取付板を「既設LBS からの取替施工時に便利です」と案内しています。後継機の取付寸法が既設と同じなら盤の改造を減らせます。生産を終えた機種と部品の対応はメーカー・型式ごとに違うので、現地調査で銘板の型式を見て、メーカーの更新の案内を工事会社に確かめてもらいます。

修理・部分交換・全体更新の比べ方は修理と更新の判断の記事、機器ごとの年数の一覧はキュービクルの耐用年数の記事にまとめています。

LBSの点検と、交換のあとの試験

LBSは、月次点検で異音・異臭・損傷・汚損・過熱を見て、年次点検で停電して絶縁を確かめます。交換したあとの試験(絶縁抵抗・開閉の動作・ストライカの引外し)は、内容を見積に書いてもらってから頼みます。

経済産業省の「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」は、外部委託の月次点検で「電気工作物の異音、異臭、損傷、汚損等の有無」や「機械器具、配線の取付け状態及び過熱の有無」を点検する対象の設備に「高圧負荷開閉器」を挙げています。年次点検は「1年に1回以上」行い、「高圧電路が大地及び他の電路と絶縁されていること」などを確かめます(信頼性が高く同等の点検が年1回以上行われている機器は、停電しての点検を3年に1回以上にできる、という但し書きがあります)。LBSの開閉の動作やストライカの引外しは内規に項目として書かれていないので、交換のあとに確かめる試験の内容は、見積の段階で工事会社に書いてもらいます。

点検・試験何を見るか決まり・資料
月次点検異音・異臭・損傷・汚損、取付けの状態と過熱の有無内規の月次点検の点検項目。対象の設備に「高圧負荷開閉器」がある
年次点検停電して、高圧電路が大地・他の電路と絶縁されているか内規の年次点検(1年に1回以上)
限流ヒューズ定格・製造年、溶断の表示、取付のゆるみJEMAは、劣化の診断は判定が付きにくいので年数で替えるのがよいとしている
交換のあとの試験絶縁抵抗・開閉の動作・ストライカの引外し内規に項目は無い。内容は工事会社の見積と試験成績書で確かめる

経済産業省の内規とJEMAの調査報告書から編集部作成。実際の点検・試験の内容は、設備の保安規程と点検の契約で決まります。

点検報告書の読み方はキュービクル点検報告書の見方の記事、年次点検で指摘を受けたあとの進め方は年次点検の記事で解説しています。

古い油入の開閉器から替えるとき|低濃度PCBの確認

消弧に油を使う古い型の負荷開閉器(油入の開閉器)が今も付いているなら、交換の前に、絶縁油のPCBの分析をしたかを確かめます。

JEMAの調査報告書は、油入開閉器について、昭和47年10月にオイルレス化の通達が出され、昭和51年の電気設備技術基準の改正で柱上への施設が禁止されたこと、屋内にはいまだに使われている例があり、放っておくと絶縁油の酸化などで炭化が進むことを書いています。環境省は、絶縁油がPCBに汚染されている可能性がある自家用電気工作物の12種類に「開閉器」を挙げ、環境省・経済産業省の手引き(一般向けの版)は、チェックリストで「絶縁油入替が可能な変圧器、開閉器、遮断器等について、絶縁油のPCB濃度の測定を行っているか」を確かめるよう挙げています。技術者向け詳細版は、汚染の可能性がある機器の製造時期の目安を、絶縁油を交換できる機器(変圧器など)は平成5年(1993年)以前、絶縁油を封じ切った機器(コンデンサー、避雷器など)は平成2年(1990年)以前としています。油入の開閉器がどちらに当たるかは、銘板と型式で電気主任技術者に確かめてもらいます。

環境省は「低濃度PCB廃棄物の処分期間は、PCB特措法において令和9年(2027年)3月31日で終了します」と案内しています。PCB特別措置法は2026年に改正され(令和8年法律第44号、6月19日公布)、2027年4月1日から、使用中の低濃度PCB使用製品の都道府県への届出と管理の基準が設けられ、処分の期間は5年以内で政令で定める期間に見直されます。改正前の法律で届け出て保管している低濃度PCB廃棄物は、施行後も改正前の法律の処分の義務が続きます(環境省)。油入の開閉器を撤去するときは、銘板の製造年と、PCBの分析をしたかを電気主任技術者に確かめ、分析の結果に応じた保管・処分の手順を工事の見積に入れてもらいます。PCBの調べ方は低濃度PCBの記事で解説しています。

LBS交換の停電と、電力会社への申込みが要るとき

受電の主開閉器のLBS(PF・S形)を替えるときは、施設全体が停電します。受電を止めるのは、LBSより電源側の開閉器(電柱の上のPASなど)で、どこで止めるかは電気主任技術者が決めます。変圧器やコンデンサの開閉器のLBSなら、その回路と、作業に必要な範囲の停電で済むことがあります。

施設の区分開閉器で受電を止められれば、送配電会社の作業は要らないことがあります。東京電力パワーグリッドは、お客さま開閉器を設置している場合は同社の作業は無く無償、関西電力送配電は、お客さまの開閉器(PAS)があれば無償で、同社の引込開閉器での停電を希望する場合は有償としています。送配電会社の作業を頼むときの料金と申込みの期限は次のとおりです。

送配電会社料金(税込)申込みの期限
東京電力パワーグリッド同社の引込開閉器があれば操作 37,840円、無ければ引込線の切断・接続工事 114,389円希望日の1か月(31日)以上前までに申込む。引込用の開閉器が無い場合は60日以上前。土日・祝日等の営業時間外の操作は希望に添えないことがある
関西電力送配電平日昼間(9:00〜17:00)19,630円、夜間・休日(土曜日を含む)48,720円操作の希望日の1か月以上前(申込日から1年以上先は受け付けない)

東京電力パワーグリッド・関西電力送配電の案内から編集部作成。ほかの地域は、それぞれの送配電会社の案内を見てください。

停電の日を右端に置き、送配電会社への申込みの期限を逆算した棒の図。東京電力パワーグリッドは引込用の開閉器が無いとき60日以上前、同社の引込開閉器があるとき31日以上前、関西電力送配電は操作の希望日の1か月以上前
図3 停電の日から逆算する送配電会社への申込みの期限(本文の表から作成)

冷蔵・冷凍の設備、サーバー、医療機器、エレベーター、防災の設備など、止められない・止めると困る設備を先に洗い出しておきます。仮設の発電機が要るかは電気主任技術者と決め、手配と接続は工事会社に任せます。つなぎ方を誤ると、停電している設備に電気が戻って作業する人が感電するおそれがあるためです。年次点検の停電の日に交換をまとめると、停電の回数を減らせます。

LBSの故障と波及事故|全停電と、統計で多い原因

JEMAは、負荷開閉器(責任分界点のPASなども含めた負荷開閉器全般)は主遮断装置の電源側や責任分界点に付くことが多く、故障すると全停電になるほか、配電線への波及事故になれば他の需要家も停電して被害が広がる、としています。そのため「機会損失を十分考慮して適切な更新時期に取り替えることが望ましい」としています。

NITE(製品評価技術基盤機構)の令和6年度電気保安統計では、自家用電気工作物の波及事故193件のうち、高圧限流ヒューズ+高圧負荷開閉器(PF+S)が起点のものが5件、負荷開閉器(LBS)が起点のものが8件でした。13件のうち11件の原因は鳥獣の接触で、自然劣化は0件でした(第14表から編集部が数えた値)。年数での交換とあわせて、ケーブルの引込口や換気口のすき間から小動物が入らないかも、点検で見てもらうとよいでしょう(編集部の見方)。

波及事故の原因と賠償の考え方は波及事故の記事、電源側の区分開閉器の交換はPAS交換費用の記事で解説しています。

LBS交換工事の流れ|資料集めから書類の更新まで

LBSの交換は、資料をそろえてから書類を直すまで、7つの段階で進めます。停電の日が決まってからでは選べることが少なくなるので、見積の前の段階から電気主任技術者と相談します。

STEP
資料をそろえる

点検報告書(指摘の内容と試験の結果)、単線結線図、設備台帳、過去の試験成績書と工事の記録を集めます。LBSと限流ヒューズの銘板(メーカー・型式・製造年・定格電圧・定格電流・ヒューズの定格)は、電気主任技術者か工事会社に安全な方法で写真に撮ってもらいます。

STEP
現地調査

工事会社が、どの回路のLBSか、取付の寸法、主回路の接続、操作ハンドルの位置、盤の傷みと、新しい機器を運び込む通路を確かめます。図面と現地が合わないこともあるので、現地を見てから範囲を決めます。

STEP
工事範囲を決める

LBS本体だけを替えるのか、限流ヒューズ・ほかの機器・盤の改造まで一緒にするのかを決めます。年数の近い機器があれば、同じ停電でまとめて替えるかも比べます。

STEP
見積を比べる

同じ工事範囲・同じ停電の条件・同じ試験の内容で見積を取り、別途になっている項目(立会い・申請・発電機・割増・処分)をそろえてから総額を比べます。

STEP
停電の段取り

LBSの納期が決まったら、受電を止める方法と時間を電気主任技術者と決め、送配電会社の作業が要るときは期限までに申し込んでもらいます。止められない設備には仮設の電源を手配します。

STEP
交換工事と試験

決めた手順で停電・検電・接地などの安全措置をしてから、既設のLBSを撤去し、新しいLBSと限流ヒューズを取り付けます。絶縁抵抗・開閉の動作・ストライカの引外しを確かめ、電気主任技術者の確認の手順どおりに復電します。

STEP
書類を直す

新しいLBSの型式・製造年・定格、ヒューズの定格、試験成績書、工事写真、保証の書類を受け取り、単線結線図・設備台帳を直してもらいます。次の交換の時期の目安も台帳に書いておきます。

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修繕と保安管理を月額にまとめる「所有権移転」の対象になりそうか、4問・30秒で確かめられます。条件に合えば初期費用は0円です(高圧受電の施設が対象。低圧・特別高圧、沖縄・離島は対象外)。

キュービクルの高額修繕を払う前に

LBS交換の見積で確認したい10項目

相見積もりでは、総額の前に、工事範囲・停電の条件・別途の項目をそろえて比べます。見積の内訳の読み方と、高いと感じたときの選択肢はキュービクルの見積チェックの記事にまとめています。

項目確かめること
どの回路のLBSか受電の主開閉器か、変圧器・コンデンサなどの開閉器か。止まる範囲はどこまでか
LBS本体メーカー・型式、定格電圧・定格電流、手動か電動か、ストライカの有無が既設と合うか
限流ヒューズ3本とも替えるか。定格電流は変圧器などの容量に合っているか。予備は含むか
取付と盤の改造既設の盤にそのまま付くか。取付金具・導体・端子・操作ハンドルの手直しは含むか
試験絶縁抵抗・耐電圧・開閉の動作・ストライカの引外しの試験は含むか、成績書は出るか
工事日と停電の時間・範囲LBSの納期と工事日の目安、停電の開始から復電までの予定時間
電力会社の手続き送配電会社の開閉器の操作の申込みが要るか、だれがするか、送配電会社に払う費用があるか
仮設の電源止められない設備のための発電機は含むか、容量と配線
立会いと夜間・休日の割増電気主任技術者の立会いは見積に入るか、作業の日時による割増
撤去品の処分と書類撤去したLBSの処分、油入ならPCBの分析と処分の扱い、単線結線図・設備台帳の修正、保証の期間

編集部作成。

現地調査で写真に残してもらいたい場所

見積を比べるときも、社内で説明するときも、現地の写真があると話が早く進みます。撮るのは電気主任技術者か工事会社に頼み、施設の人は盤の扉を開けたり充電部に近づいたりしないでください。

  • LBSと限流ヒューズの銘板(メーカー・型式・製造年・定格)
  • LBSが入っている盤の全体と、取付の様子(どの回路のLBSかが分かるように)
  • がいし・絶縁物の汚れ、ひび、変色、接続部の過熱の跡
  • 盤の床・天井のさび、雨や結露の跡
  • 新しい機器を運び込む通路と扉の幅

LBS交換に関するよくある質問

LBSの交換費用はいくらですか?

工事会社が公開している価格の例では、最低価格が18万〜26.4万円(MECは三菱製231,000円〜・富士電機製264,000円〜(税込、ヒューズ3本付き)、丸仁18万円〜、サイデン20万円〜)、幅で示している会社が約25〜35万円(キーネックス、PFも同時に交換)と40〜80万円程度(セイトー電設、北海道)です。申請・搬入、主任技術者の立会い、試験が別になることがあるので、見積の内訳で確かめてください。

限流ヒューズだけの交換はいくらですか?

ヒューズの部品の価格は公開されていて、MECは一般用のG20A×3本を14,025円、G30A×3本を19,635円(税込、交換費は含まない)としています。ヒューズだけの交換を作業費込みで公開している会社は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。停電と立会いが要る作業なので、作業費は工事会社に見積を取ってください。

LBSは何年で交換するものですか?

法律で決まった年数はありません。JEMAは屋内用のLBSの更新推奨時期を「15年又は定格負荷電流開閉回数200回」、屋外用を「10年又は200回」としていますが、製造者の保証値ではありません。年数・開閉の回数・点検の結果・部品の供給を合わせて判断します。

限流ヒューズが1本だけ切れました。1本だけ替えればいいですか?

JEMAは、溶断せずに残ったヒューズも劣化している可能性があるため、必ず各相とも新しいヒューズリンクに取り換える必要があるとしています。三相回路なら3本とも替えます。作業は電源側の開閉器を開いて行うので、電気主任技術者に任せてください。

LBSとVCBは何が違いますか?

LBSは負荷の電流を開け閉めする開閉器で、短絡の保護は組み合わせた限流ヒューズで行います。VCBは保護継電器の指令を受けて、短絡などの事故の電流も自分で遮断する遮断器です。受電の主遮断にVCBを使う設備はCB形、PF付きLBSを使う設備はPF・S形と呼ばれます。

点検でLBSの交換を勧められました。すぐに替えないといけませんか?

まず指摘の根拠を確かめます。絶縁抵抗の低下、開閉の不良、過熱の跡、ひびなどの具体的な指摘なのか、年数による計画的な交換の提案なのかで急ぎ方が変わります。点検報告書の該当の行と写真を見せてもらい、交換までの間に気をつけることも電気主任技術者に確かめてください。

LBSの交換で停電は必要ですか?

必要です。受電の主開閉器のLBSなら施設全体が止まります。変圧器などの開閉器でも、受電を止めて作業することがあります。止める範囲は、単線結線図を見て電気主任技術者と工事会社が決めます。施設のPASなどで受電を止められれば送配電会社の作業は要らないことがありますが、頼むときは希望日の1か月以上前の申込みが目安です(東京電力パワーグリッド・関西電力送配電)。東京電力パワーグリッドでは、引込用の開閉器が無い場合は60日以上前です。

古い油入の開閉器が付いています。どうすればいいですか?

交換の前に、絶縁油のPCBの分析をしたかを確かめます。環境省は、絶縁油がPCBに汚染されている可能性がある電気工作物に開閉器を挙げています。低濃度PCB廃棄物の処分期間は2027年3月31日までです。分析の結果に応じた保管・処分の手順を工事の見積に入れてもらいます。

無料資料|キュービクル更新費用・機器別相場ガイド

LBS・VCB・PAS・UGS・変圧器・高圧ケーブルなど、機器ごとの交換費用と見積で確かめることを1冊にまとめています。社内の稟議や、相見積もりの前の整理に使えます。

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※資料の価格は一般的な参考情報です。個別の設備の見積額、交換の要否、安全性、工事の方法は、電気主任技術者と工事会社に確かめてください。

まとめ|LBS本体の価格ではなく、回路・ヒューズ・停電・試験の条件をそろえて比べる

LBSの交換費用は、工事会社が公開している価格の例で、最低価格が18万〜26.4万円、幅で示している会社が約25〜35万円と40〜80万円程度ですが、総額はどの回路のLBSか、ヒューズ・停電・試験の条件で変わります。

  • 公開価格はMEC 231,000円〜・264,000円〜(税込、メーカー別、ヒューズ3本付き)、丸仁 18万円〜、サイデン 20万円〜(ヒューズ付)、キーネックス 約25〜35万円(PFも同時交換)、セイトー電設 40〜80万円程度(税込、北海道)
  • LBS本体の部品の価格は約5.5万〜9.5万円、限流ヒューズは1本約1万〜1.6万円(税込の販売価格)。申請・搬入の費用が別になることがあり(MEC)、立会い・試験の扱いは会社で違う
  • どの回路のLBSかで停電の範囲が変わる。受電の主開閉器(PF・S形)なら施設全体が止まる
  • JEMAの更新推奨時期は、屋内用のLBSが15年又は定格負荷電流開閉回数200回、限流ヒューズが屋内用15年。保証値でも法定の期限でもない
  • 限流ヒューズが1本でも溶断したら、3本とも新しいものに替える
  • 古い油入の開閉器なら、絶縁油のPCBの分析を先に。低濃度PCB廃棄物の処分期間は2027年3月31日まで

LBSの交換をきっかけに、キュービクル全体を直すか更新するかを考え始めたときは、修理と更新の判断の記事が参考になります。容量ごとの全体更新の費用はキュービクル更新費用の記事、変圧器の交換は変圧器の交換費用の記事で解説しています。

LBSに指摘が出るキュービクルは、ほかの機器も年数が近いことがあります。費用の払い方も比べておきましょう。キューブアップは、高圧受電のキュービクルの所有権を移し、修繕・交換と保安管理を月額にまとめるサービスです。契約は10年または15年で、途中で解約すると中途解約金と、それまでの修繕費の全額がかかります。機器を交換するかどうかは、提供元が設備を見て決めます。4つの質問に答えると、対象になりそうかと月額の目安が分かり、点検報告書や見積が手元に無くても始められます。対象は高圧受電(キュービクル設置)の施設です。低圧・特別高圧での受電と、沖縄・離島は対象外となります。結果を受け取るときに会社名・お名前・メールアドレスと連絡方法を入れ、電話番号は任意でメールだけの案内も選べます。設備の査定・現地調査・正式な見積はサービス提供元のエナジーコネクト株式会社が行い、入力した内容はエナジーコネクト株式会社と株式会社ハルエネに提供されます(診断ページの記載)。初期費用を含む正式な条件は、現地調査と見積のあとに決まります。

この記事の調べ方

LBSの交換の価格をサイトに載せている工事会社を探し、価格を確かめられた5社を載せました。すべての会社を調べたわけではありません。部品の価格はモノタロウの商品ページ、更新推奨時期と点検はJEMAとメーカーの資料、申込みと料金は送配電会社の案内で確かめています。編集:RANKING HUB編集部(運営:Digital GOAT株式会社)。コンテンツ制作ポリシー・運営者情報

参考にした情報

本記事は一般的な情報提供を目的としています。金額は各社が公開している価格の例で、個別の設備の見積額、交換の要否、安全性、工事の方法は、電気主任技術者と工事会社に確かめてください。

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